3歳の子の「自律性を育てるチャンス」を潰す親の叱り方
思春期までに自律性を育てるべき理由
自律性が育っていないと、どうなってしまうのでしょうか。 自律性が身についた子は「できる自分」として自信をつけていきますが、自律性が身につかないと、「できない自分」として自信を失っていきます。 たとえば、この時期の子どもは、ちょうどトイレトレーニングをしますよね。 トイレトレーニングは成功と失敗の繰り返しです。トイレできちんとおしっこやうんちができれば自信を持ち、失敗すれば恥ずかしさや自分に対する疑惑を抱きます。 成功体験だけでなく、同時に失敗体験も積み重ね、成功が失敗を上回ることでやがて自分の力でトイレで排はいせつ泄することができ、ちゃんとコントロールできる自分に自信ができて自律性が備わっていきます。 「ぼく(私)、もう自分でトイレできるよ!」という自信がつくのです。 一方で、トイレに失敗したときに、親にいつも怒られたり、おもらしを責められたりしたらどうでしょう。 自発的に行動しようという意欲や自信が持てなくなり「恥と疑惑」だけを感じるようになるのは当然のことではないでしょうか。トイレができたときはほめ、おもらしをしたときはスルーでOK。失敗したら汚れた衣類や下着を替えればいいだけ、恥ずかしいことじゃないよ、ということを淡々とした態度で示してあげてください。 「なんでおもらししたの!」なんて怒るのは無意味です。だって、出ちゃったんだから、仕方ないですよね(笑)。自律性が身につかない子は「意志」がなくなります。 意志がないから、親の言うことを聞きます。言うことをよく聞くいい子、育てやすい子、と親は思うかもしれません。でも、意志を持たない子どもは、言い換えれば、親のコントロール下に置かれる子どもでもあるのですよ。 そのまま思春期になると、今度は親に心を閉ざすようになり、不登校やひきこもりにつながることもあるのです。
山下エミリ