『アワセなし釣法』とは?香川の怪人【菊丸さん】伝説の奥義
誰でも試せる“グリップ叩き”と“ハンチング帽”
また、菊丸さんから“グリップ叩き”という妙技を教わったこともある。ポーズ中のワームにバスがなかなか喰いつかないことがあるが、その時ロッドグリップを叩くと突然バスが喰いついてくるのだ。これは見えバスで何度も試したが、かなり効果的だった。もちろん、ブラインドで釣っていてもこの技は有効。私自身が釣る取材でも、何度この技に助けられたことか…。これは“アワセなし釣法”と違って誰でもできる技なので、「そんなんで釣れるのか?」と思う方もいるかもしれないが、ぜひ試していただきたい。 他にもいろいろあるが、もうひとつ最後に伝えたいのは、彼のトレードマークである“ハンチング帽”だ。菊丸さんは常にハンチング帽をかぶっているし、菊丸一門の弟子たちもハンチング着用で釣りするのが作法となっている。 その理由は「遠投」。ルアーを遠投するには、最適な角度で斜め上方に投げるというのが菊丸さんの理論。菊丸さんによれば、ハンチング帽のつばの下に見える山に目がけてルアーを飛ばすと、ベストな角度で飛んでいくらしい。これが、普通の野球帽的なキャップではつばが大きすぎて、目標が見えないという。 「だからハンチングなんじゃよ!フォッフォッフォ!」 今でも、これを教えてくれた時の笑顔が忘れられない。2年半前、菊丸さんの危篤を知らされたときは香川まで駆け付けたが、コロナが蔓延しているタイミングだったので会うことができなかった。亡くなった後はなかなか行く機会が作れず2年が経過。近々、お墓参りに行きたいと思っている。
横沢鉄平:フリーライター。ライフワークはバスフィッシングだが、ワカサギから世界の怪魚まで、すべての釣りを愛する男。