無念のスコアレスドローで開幕…なぜ川崎Fの新システム「4-3-3」は機能しなかったのか?
デジャブを見ているような90分間だった。前後半を通して試合を支配した。対戦相手よりも多いシュートを放った。それでも、肝心な場面でゴールを奪えない。そして、同点のまま試合終了を告げる笛を聞いた川崎フロンターレの選手たちが、無念の表情を浮かべながら天を仰いだ。 ホームの等々力陸上競技場にサガン鳥栖を迎えた、22日の明治安田生命J1リーグ開幕戦。覇権奪回を合言葉に船出した前王者のボールポゼッションは60%近くに達し、サガンの3本をはるかに上回る19本ものシュートを放ちながら、最後までゴールネットを揺らすことができなかった。 実は一度だけ歓喜の雄叫びをあげかけている。後半4分。FW家長昭博のシュートのこぼれ球をFWレアンドロ・ダミアンが押し込んだものの、今シーズンから導入されたビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)が介入。ダミアンのオフサイドが認められ、一転して取り消された。 「ゴールかな、と思いましたけど……ただ、選手たちにも『実際にそういうことが起きても一喜一憂するな』という話をしていたので、自分自身もすぐに切り替えました。VARでゲームの流れが変わる、というのはすごくもったいないことであり、自分たちに矢印を向けてプレーし続けるしかないので」 試合後の公式会見。フロンターレを率いて4シーズン目になる鬼木達監督が、無念のスコアレスドロー発進を努めて冷静な口調で振り返った。直前にひな壇に座ったサガンの金明輝監督が思わず発した本音を聞けば、フロンターレが失った勝ち点「2」の重さが浮き彫りになってくる。 「現時点での立ち位置として、見に来られた方の9割が、フロンターレさんが勝つと思われたのでは」 2007-09シーズンの鹿島アントラーズに続く、史上2チーム目のリーグ戦3連覇を目指した昨シーズンの開幕戦も、ホームでFC東京と0-0で引き分けている。しかも、勝ち切れない流れをズルズルと引きずり、最終的には松本山雅FCの13に次いで多い12もの引き分けを数えた。