新属新種の恐竜と判明 17年前に発掘の化石 「アジア→北米」証拠の可能性/兵庫・丹波篠山市
兵庫県立大学、県立人と自然の博物館(同県三田市、以下ひとはく)、岡山理科大、カナダ・カールトン大の国際研究チームは3日、2007―08年に同県丹波篠山市宮田の約1億1000万年前の前期白亜紀の地層「篠山層群大山下層」から発掘された恐竜化石が、植物食の原始的な角竜類「ネオケラトプス類」の新属新種と判明した、と発表した。 【写真】見つかった化石
原始的な角竜類、愛好家が発見
学名は、「ササヤマグノームス・サエグサイ」。「篠山の地下に隠された財宝を守る小人」を意味し、丹波地域の恐竜化石発掘調査を指揮してきた元ひとはくの主任研究員で、22年に逝去した三枝春生さんの名字と合わせた。化石は4日から11月10日まで同博物館で展示している。 2006年に同県丹波市山南町上滝の篠山層群で竜脚類タンバティタニス(丹波竜)が発見されて以来、三枝主任研究員を中心に調査が行われてきた。宮田では07年、地学愛好家で丹波竜発見者の一人でもある足立洌さん(81)=同市柏原町=が、小型脊椎動物化石が密集する地層と数点の骨格化石を発見。足立さんとひとはくが予備調査を行い、その際、今回の新属新種と判明した角竜類化石3点が見つかっていたが、当時は原始的なネオケラトプス類であるということ以上の詳しいことは分からなかった。 引き続きひとはくが調査を進めた結果、13年に新属新種の哺乳類ササヤマミロス・カワイイ、15年には新種のトカゲ類パキゲニス・アダチイの発見につながった。 角竜類の化石も同所から当初の3点に加え、これまでに計17点が見つかっており、うち15点が頭骨、1点が肩の骨(烏口骨)、1点が後ろ足の骨(脛骨)と判明。これらの骨格化石の特徴が、他の角竜類に見られないことから新属新種と結論付けた。 角竜類は、頭部に大きな角やフリル(襟飾り)を持つ草食恐竜のグループで、後期ジュラ紀―白亜紀の終わりごろまで北半球に広く分布していた。代表的な角竜類に北アメリカのトリケラトプスが挙げられるが、最も古い化石は中国に分布する後期ジュラ紀の地層から発見されていることから、角竜類はアジア起源と考えられている。