多田神社境内に16億円の根抵当権 川西の国史跡、急死宮司が担保に借金か 神社側、競売阻止へ提訴
清和源氏発祥の地と伝わる兵庫県川西市多田院多田所町の多田神社で、国史跡となっている約5万平方メートルの境内に、融資の担保として総額16億円を上限(極度額)とする根抵当権が設定されていたことが、19日までに関係者への取材で分かった。債権者は4者で、うち京都市の不動産仲介業者の申し立てにより、9月に神戸地裁尼崎支部が競売開始を決定。神社側は異議を申し立て、同支部に提訴している。 【写真】渡辺さんは豆まきしない? 最後に「鬼は内~」 兵庫・阪神間の多彩な「鬼事情」 登記簿などによると、国の重要文化財に指定されている本殿の他、拝殿やトイレなど神社内の全ての建物が登記されており、土地を担保に繰り返し融資を受けられる根抵当権が2023年9月以降に設定された。今年2月に急死した当時の宮司が借金の担保にしたとみられるが、神社関係者はいずれも知らされておらず、契約書も残されていなかったという。 債権者には不動産仲介業者に加え、京都市や大阪府岸和田市の飲食業の男性、同府豊中市に住む中古車販売業の男性の名前もあり、極度額はそれぞれ7千万~10億円だった。 同神社は平安時代の970年の創建とされる。旧社格は県社で、現在は神社本庁の別表神社。清和源氏の祖・源満仲から「八幡太郎」の名で知られる源義家ら5代の武将がまつられ、1961年に境内全体が国史跡に指定された。 今年7月23日付で、禰宜が宮司代務者に就いている。(広畑千春、浮田志保)