新属新種の恐竜と判明 17年前に発掘の化石 「アジア→北米」証拠の可能性/兵庫・丹波篠山市
北米種と近縁「陸橋」で拡大に「納得」
ササヤマグノームスは、原始的な角竜類であるため、大きな角やフリルを持たなかった。全長約80センチ、体重約10キロと推定しており、成長途中の若い個体であることも分かった。 研究チームの系統解析で、ササヤマグノームスは北米の原始的な角竜類と極めて近縁であることが分かり、アジアで誕生した角竜類が北米へと渡った時期が、1億1000万年前ごろだった可能性を指摘。この時期はユーラシア大陸東部と北米大陸西部が地続きとなる「ベーリング陸橋」が形成されており、極端な温暖期でもあったことから、ササヤマグノームスのようなアジアの原始的角竜類は北上し、陸伝いに北米大陸まで生息域を広げることができた可能性があるとした。 足立さんは、「恐竜がベーリング陸橋を渡って生息域を広げたということは知っていたが、その確たる証拠はなかった。まさか自分の発見がその納得につながるだなんて」と喜び、「篠山層群はすごい。地層に興味を持ち、調べてくれる若者たちが出てきてくれることを期待したい」と話した。 同博物館の田中公教主任研究員(37)は、「篠山層群から発見された化石には、いまだ系統的位置が不明な分類群が数多く存在する」とし、「系統分類学的な研究を進めることで、アジア東縁部と北米大陸との生物相の類似性や、白亜紀中頃における動物の生息域拡大ルートも明らかにできる」と話した。 ひとはくは今年7月にも、県立並木道中央公園の篠山層群大山下層から見つかった化石が、鳥類に近い系統で肉食の小型恐竜「トロオドン亜科」の新属新種だったと発表している。