シスター・鈴木秀子が92歳を迎えた今、あらためて大切と思うこととは…まわりを不快にする「不機嫌ハラスメント」に影響されてはいけない
内閣府が公表した「令和5年版高齢社会白書」によると、令和元年時点の健康寿命は、男性が72.68年、女性が75.38年と年々延びているそう。「超高齢化社会」の現代、年を取ることに落ち込んでしまう人もいるのではないでしょうか。しかし、50万人の悩みと向き合ってきた92歳の聖心会シスター・鈴木秀子さんは「年を取るって、素晴らしいこと」と話します。今回は、その鈴木さんの自著『あなたは、そのままでいればいい』より、人生100年時代を軽やかに生き抜くヒントを一部ご紹介します。 【書影】92歳シスターの、楽しく老いる生き方のヒント。鈴木秀子『あなたは、そのままでいればいい』 * * * * * * * ◆92歳を迎えたいま、もっとも大切だと思うことは… 私は、これまで160冊以上の本を出版し、生き方や心の有り様(よう)などについて、さまざまなことを記してきました。 92歳を迎えたいま、もっとも大切だと思っていることがあります。 それは─上機嫌でいること。 機嫌良くいることは、幸せになるためのもっとも簡単で、もっともシンプルな方法です。 そんな簡単なこと? そう思った方もいれば、そんなのは無理ですという方もいるでしょう。 「上機嫌でいる」とつねに心に刻んで、いつも微笑んで、小さなことにも大きな感謝と幸せを感じ、いやだなと感じる出来事も上機嫌でさらりとやり過ごす。なんて難しいことでしょう。
◆悲しいこと、つらいことがあっても「上機嫌」でいるのです 年を取るということは、日々、「上機嫌でいる」ための訓練をすることです。 日々、いろいろなことが起こります。 電池が切れて、電源が入らない。鍵が見つからない。 母が病を患った。椅子にひざをぶつけた。 それでも、上機嫌でいるのです。 悲しいことやつらいことは、私たちが幸せになるために必要なこと。 上機嫌、上機嫌。こんなふうにおまじないのように唱えてみましょう。
◆まわりにいる人を不快にさせるのは、立派なハラスメントです 人間は、あっという間に不安や不満に心を支配されて、悪いほうへ悪いほうへと考えてしまう生き物です。 そうすると、上機嫌どころかどんどん不機嫌になってしまいます。 すると、まわりにいる人を不快にさせます。 それは立派なハラスメントです。不機嫌ハラスメントといって、最近では「フキハラ」というそうですね。近くに不機嫌な人がいると、それだけで自分まで嫌な気分になって、傷つきます。 不安や不満が私たちの心を支配する理由は、「人間の感情はネガティブが主体」だからだそうです。私たちのこのような感情のしくみを科学的に証明したのが、世界初の感情認識ツールを開発した満倉靖恵(みつくらやすえ)さんです。『フキハラの正体』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)のなかで詳しく述べられています。 アドラー心理学では、「人間の行動には目的がある」と唱えていますが、不機嫌の目的とはなんでしょうか。 赤ちゃんは、お腹が空いたり、眠くなると、ぐずって泣き出します。大人も不眠が続き、お腹が空けば、不機嫌になります。体調が悪いのをまわりにアピールしたいのかもしれません。 自分の思うようにいかないイライラをまわりにまき散らして、他人もおなじようにイライラさせたいのでしょうか。 自己評価が低く、他人が自分と比べて高く評価されることに怒りを感じるのかもしれません。 不機嫌を表に出してアピールすることで、まわりの人が気づかってくれるのを期待しているのでしょうか。 また、不機嫌によって、相手の行動をコントロールしようとしているのかもしれません。 いずれにせよ、どれもこれも聞くだけで、せっかく上機嫌でいようとしているあなたを、不機嫌で支配してしまいそうです。
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