「高くても売れる」焼魚定食2万円超!物価高&治安悪化でも人気『ニューヨーク』と円安バブル『日本』
世界で最も高い「ホテル」相場で“期待禁物”な理由
ニューヨーク滞在で今、最も旅行者を悩ませる「ホテル」問題。アメリカの調査会社コスター・グループが発表した’24年9月のニューヨークにおける1泊当たりのホテル価格は平均417ドル(約6万5千円)で過去最高を更新したと当時、ニューヨーク・タイムズ紙をはじめ各メディアで報じられた。 特に、筆者が訪れた12月のホテルは1年で最も高い時期。3~4つ星クラスで1泊500ドル(約7万8000円)以上、週末だと1泊700ドル(約11万円)にも跳ね上がった。マンハッタンはもちろんブルックリン、ニュージャージー州のマンハッタン島に近い場所も軒並み高騰し、ドミトリーですら日本円で1泊2万円近い。しかもこの金額に14.75%のホテル税と3.5~7.5%の市税が1泊・1室あたり加算される。 JFK空港にある4つ星ホテル「TWAホテル」に今回宿泊した際、税金などすべて含めて1泊571ドル(約9万円)した。1960年代の雰囲気あるレトロホテルは飛行機好きなら最高だが、宿泊目的だけの滞在だといろいろ微妙だった。客室の広さ約30㎡は2人利用だとけっこう窮屈で、冷蔵庫の中は空で無料のミネラルウォーターなどなく、湯沸かしポットもなかった。床のカーペットも糸が解れ、ベッドのシーツはよく見ると穴が開き、バスアメニティなども最低限。朝食は別料金で、ホテルや空港の売店で水のペットボトル(500ml)が4ドル(約630円)で売られていた。 ◆ニューヨークが世界の観光都市であり続ける一方、日本の今後は… 今回、行きの羽田発ニューヨーク行きは米系航空会社を利用した。出発当日までweb上で空席が見られたものの、結局、搭乗率100%の1席も空きがなく出発。機内で聞くと「スタンバイ」で日本便が最近とても人気で、もし空席があっても埋まるという。このスタンバイとは、航空会社で働く社員や家族らを対象に、空席があれば出発当日に搭乗できる福利厚生制度。逆に帰りは日系航空会社で、ビジネスクラスとプレミアムエコノミーはほぼ満席だったが、エコノミークラスは3席の中央がほぼ空いていた。 インバウンドが日本の伝統や文化、美しい風景に加え、治安の良さ、交通機関の定時運行率、質の高いサービスなどに感銘を受けるという。ただ、円安による日本旅行の割安感でインバウンドの「質」も低下しており、オーバーツーリズム(観光公害)、マナー問題なども近ごろ事あるごとに話題に上っている。今の日本は外資系高級ホテルの開業ラッシュこそあっても、新たなチャレンジといった勢いは感じられず、値上げラッシュや社会保険料の高負担など国民に閉塞感も漂う。 ニューヨークはかつて犯罪の多い都市で悪名が高かったが、この十数年で犯罪率は劇的に改善された。しかし、コロナ禍とその後の経済悪化で再び街中に空き店舗が増え、ホームレスも増えて、さらに移民らによる犯罪が相次ぐ。先日もニューヨークの地下鉄で乗客に火をつけて死亡させた殺人事件が起きた。旅行者が増えて地元経済が潤っても、地元の低所得者や移民らがその恩恵を受けられないと不満が募る。経済格差が広がれば、治安は確実に悪化する。 それでもニューヨークを訪れる旅行者が今後も減ることはないだろう。活気あって進化し続ける観光都市こそ、旅行者を魅了し続ける。 取材・文・写真:シカマアキ
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