「高くても売れる」焼魚定食2万円超!物価高&治安悪化でも人気『ニューヨーク』と円安バブル『日本』
マンハッタンでは、この10年でサミットを加えた3つの展望台が新たにオープン。ハドソン・ヤードにある「エッジ」はビル100階部分が三角形に突き出て浮遊感が実体験でき、ビル外壁を登るシティ・クライムはスリル満点だ。ニューヨークでは、いまや展望台から高層ビル群をただ眺めるにとどまらない魅力をも提供するのがトレンド。さらに、ハドソン・リバー・パークに’21年オープンした水上公園「リトルアイランド」はハドソン川に浮かぶ小島で、展望デッキや円形劇場などもあって人気だ。 目新しさが一気に流行する一方、廃るのも早い。ニューヨーク発のベーカリーで日本に30店舗以上ある「ザ シティー ベーカリー」は、’19年に経営難で閉店済み。高級食料品店「ディーン・アンド・デルーカ」も同様の理由で、ニューヨークの旗艦店が閉店したままだ。高級百貨店やレストランなどの閉店も、コロナ前後で急増している。 ◆交通機関の切符は「タッチ決済」と「アプリ内購入」が普及 ニューヨークの地下鉄・バスは今、運賃の支払いで「タッチ決済」が主流だ。定番のメトロカードは’24年までとされ、非接触型決済「OMNY」の登録を促す告知をよく見かけた。自分のクレジットカードをOMNYで登録して使うと、7日で34ドル(約5400円)以上は請求されず、自動的にいわば乗り放題となるシステムが構築されていた。 ジョン・F・ケネディ(JFK)空港からマンハッタンまでの交通アクセスも近年改善された。各ターミナルからエアトレインでジャマイカ駅まで行き、LIRR(ロングアイランド鉄道)でグランドセントラル駅またはペンステーションまで直通で合わせて30分ほど。エアトレインはOMNYのタッチ決済、LIRRは「MTA」公式アプリで切符を購入でき、検札時に車掌にQRコードを提示するだけでいい。 列車の切符をアプリ内で購入してQRコードを提示する流れは、アメリカに限らずヨーロッパなど他の先進国でもコロナ前から広く普及する。旅行慣れしていると、このシステムはストレスなく利用しやすい。 ◆日本食ブームで焼魚定食が2万円超「高くても売れる」 ニューヨークには、世界中からあらゆる料理と一流のシェフが集まり、ファストフードやカフェ、高級レストランまでそろうが、外食すると非常に高い。それでも、ランチやディナーで人気店の予約を取るのは至難の業で、今回、ブルックリンでのランチを前日に予約しようとすると、10軒以上探してやっと見つかったほどだった。 日本食の人気も根強い。世界各地に展開する高級日本料理店「NOBU(ノブ)」をはじめ、日本でなじみ深いチェーン店「大戸屋」「一蘭」「一風堂」など多くの日本食レストランがニューヨークにある。 ’22年9月にオープンした「CIBONE Brooklyn」は、東京の表参道と銀座にも店舗を構えるライフエディトリアルストア。今回訪れると店内がとてもにぎわい、特にフードコートのようなフレンチ・ジャパニーズ レストラン「HOUSE Brooklyn(ハウス ブルックリン)」で定食を味わう人々が目についた。その価格は「Yakijake(焼鮭)」で35ドル(約5500円)から、最も高い「Benihitomi(紅瞳、対馬産ノドグロ)」で150ドル(約2万4千円)まで。メイン料理の魚を東京・豊洲市場から取り寄せているとはいえ、日本人からすると驚愕の値段だ。 なお、「無印良品」やローソンでも販売されている「不揃い 発酵バターバウム」(日本での販売価格:税込180円)が、ニューヨークの無印良品でまったく同じパッケージで4.90ドル(約770円、税別)で売られていたのにも驚いた。いわば本物の日本の味をニューヨークで堪能するなら、その値段と価値となるのだろう。インバウンドが日本へ殺到する理由がよく分かった。