ノーベル平和賞展に被爆者による「原爆の絵」も関連展示 山下正人さん作“黒焦げの幼児”も
日本被団協がノーベル平和賞を受賞したのに合わせ、ノルウェー・オスローで開催されるノーベル平和賞展には、関連展示として被爆者たちが描いた「原爆の絵」も紹介されることになった。そのうちの1つが、当時20歳だった山下正人さん。広島で戦争を体験、50代になってから、当時の記憶を後世に伝えなければいけないと、目の当たりにした惨状を思い出し絵にしたのが、今回展示されることになった「黒焦げになった四、五歳の幼児の死体」だ。 山下正人さんの作品 広島平和祈念資料館に所蔵されている同作は、山下さんが実際に目にしたものを絵にした。広島に原爆が落とされた8月6日ではなく、3日後の8月9日の状況で、建物疎開(空襲によって火災が周辺に広がるのを防ぐため、あらかじめ建物を取り壊す作業)に出かけていた弟を探しに行った際、見かけた死体だという。なお、弟は原爆投下から2週間が経過した20日過ぎに帰宅したが、25日に吐血や髪が抜けるなどの症状が出始め、31日に息を引き取った。 それから30年ほどは思い出すことも辛く、家族とも戦争について語ることはなかったが、戦争の悲惨さを伝えるべきと絵にしたところ、地元紙に取り上げられた。山下さんの他の作品も、同記念館に所蔵されている。今回、被団協がノーベル平和賞に選ばれた理由も「被爆者たちは自らの経験を個人の記憶に留めず、社会全体の記憶として生かし続けた」ことも含まれており、山下さんの絵は選考理由に沿った作品だ。現地では、より多くの人に伝えるべく、絵をポストカードとして印刷もされるという。 (ABEMA NEWS)
ABEMA TIMES編集部