冤罪事件を主導した検事が「覚えていない」連発 無罪判決の元社長が国に賠償を求めた裁判 肝心な質問に答えない検事
■無罪判決で強く非難された「検察の捜査」
この検察の取り調べは、無罪判決の中で、真実とは異なる内容の供述に及びかねないと厳しく非難された。 大阪地裁 坂口裕俊 裁判長(当時): 必要以上に強く責任を感じさせ、その責任を逃れようと真実とは異なる内容の供述に及ぶ強い動機を生じさせかねない
■「山岸さんの逮捕は一旦待った方がいい」上司に進言した検事の尋問
そして、裁判の中で注目されているのが、実際に事件の捜査にあたっていた大阪地検特捜部(当時)検事の証人尋問。 14日の午前、証言台に立ったのは、事件関係者Y氏を取り調べたS検事だ。 S検事は、Y氏が供述で山岸さんの関与を撤回したことを受けて、捜査を主導した主任検事に「山岸さんの逮捕は待った方がいい」と伝え、撤回した調書の作成を進言していた。
■「供述の全体の信用性や任意性を担保するために 訂正調書をつくる意味があると考えました」
その理由について14日の法廷でS検事は以下のように語った。 原告代理人弁護士: なぜあなたは撤回を調書に残した方がいいと思った?」 S検事: Yさんの供述の全体の信用性や任意性を担保するために訂正調書をつくる意味があると考えました
■元社長の逮捕の方針変えなかった主任検事 法廷で「覚えていない」連発
そして14日午後に行われたのは、当時、事件の捜査を主導する『主任』の立場にあった蜂須賀三紀雄検事の尋問。 S検事の「逮捕は待ったほうがいい」という進言を聞き入れず山岸さん逮捕の方針を変えなかった張本人だ。 原告代理人弁護士: 『逮捕待った方がいい』ということ言われたことは記憶にない? 蜂須賀検事: はい、本当に覚えてない 原告代理人弁護士: 山岸さんの逮捕当日のことで、かなり印象的な場面だと思うが? 蜂須賀検事: 『撤回した』と報告された記憶はあるが、逮捕を待ったほうがいいというのは記憶が出てこない 原告代理人弁護士: 訂正調書を作った方がいいという指摘は? 蜂須賀検事: 覚えてない 原告代理人弁護士: ものすごく不自然ですよ
■元社長の関与にかかわる供述が変わったことを上層部に報告したか答えず
原告代理人弁護士: Yさんが供述を変遷させたことを、上司、上級庁に報告したんですね? 蜂須賀検事: 必要な証拠関係を精査し、適切な、、、 原告代理人弁護士: していないんですか? 蜂須賀検事: 差し控えます 山岸さんの関与にかかわる供述が変わったことを上層部に報告したかどうか答えなかった当時の主任検事。 18日にも尋問の続きが行われる予定だ。
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