あの武豊が「不思議な馬」と評したドウデュース 放牧明けの馬体にあった“距離不安”を覆す根拠
「距離不安説」を覆せた根拠は…
そう思っていると、ドウデュースには「距離不安説」があることを耳にする。その内容は「2戦とも1800mでマイル経験がない」「マイルの流れでは前半置かれる」というものだ。私も同じような発想でそういったパターンを軽視する場合がある。しかし、ドウデュースに関しては、放牧帰りにその馬体を見てマイルには不安はないと思ったのだから、それをファンに伝えないといけないという気持ちもあって、最終的にはこちらを本命にした。そして、当時の予想コラムにはこんなことも書いていた。 「1週前追い切りがCWで単走、武豊騎手が跨りましたが、最後の直線を逆手前のままで6F78.4秒をマーク。この走りに対して、幼いと評価するのか、余裕があると評価するのかは年齢的に難しいところ。これに対して、友道康夫調教師に意見を求めると『ジョッキーは余裕があるから手前を替えていないと言っていた』とのこと。やっぱりそうなんだ、と感じるとともに『不思議な馬なんですよ』と武豊騎手がコメントしていたそうです。 これもやっぱり。なぜかというと、これだけ掻き込みの強いフットワークをしているにもかかわらず、これだけのスピードが出るんですから、パワータイプなのか、スピードタイプなのか、判定が難しいんだと思います。加えて、このスピードで走りながら、最後まで余裕があったり、前走の入線後も勢いがあったり。スタミナもあるんじゃないかと思ってしまいます。ここを走れば、どんな馬なのか、という形は見えてくるんでしょうが、そうなると今回のような単勝オッズにはならないでしょう。だったら、今のうちにしっかりと単勝を買っておきたいという気持ちもあります」 「単勝7.8倍」は過去8勝で最も高い配当。今年の出走馬に「今のうちにしっかり単勝を」という馬はいるだろうか。ちなみに2021年は単勝4番人気以内の馬はすべて「無敗」で2連勝か3連勝していた。そして、その4頭(ドウデュース、セリフォス、ダノンスコーピオン、ジオグリフ)は3歳でG1を勝っているのだから、レベルの高い朝日杯FSだったのは間違いないだろう。 井内 利彰 / Toshiaki Iuchi 調教をスポーツ科学的に分析した適性理論「調教Gメン」を操る調教捜査官。競馬予想TV!(フジテレビONE)に出演中。JRAの競馬場、ウインズのイベントに出演し、JRA主催のビギナーズセミナーの講師としても活躍。著書に「競馬に強くなる調教欄の取扱説明書」「調教Gメン-調教欄だけで荒稼ぎできる競馬必勝法」「調教師白井寿昭G1勝利の方程式」などがある。
井内 利彰 / Toshiaki Iuchi