あの武豊が「不思議な馬」と評したドウデュース 放牧明けの馬体にあった“距離不安”を覆す根拠
2021年朝日杯FSを優勝したドウデュース
新たなスターは誕生するのか。2歳牝馬の戦いだった先週に続き、今週は2歳牡馬のマイル王を決める朝日杯フューチュリティステークス(FS、芝1600メートル)が15日に京都競馬場で発走となる。調教を通じてさまざまな視点から過去のG1レースを振り返る企画「調教捜査官の回顧録」を寄稿する競馬ライターの井内利彰氏にとっては思い入れのあるレース。今や現役最強馬に君臨するドウデュースを“先物買い”できたのはなぜだったのか。距離適正に揺れ動いた当時の予想の根拠に迫った。 【動画】敬意の瞬間「やっぱ優しい」 武豊が優勝騎手に敬意を見せた実際の映像 ◇ ◇ ◇ 来週の有馬記念で現役を引退するドウデュース。2歳、3歳、4歳、5歳と4年連続でG1を勝利するという輝かしい成績を残しているが、その最初のG1がここ、2021年の朝日杯FSだった。 小倉芝1800mでデビュー。当時はきょうだいのフラーレンやロンズデーライトがダートで勝ち上がっていたこともあり、友道康夫調教師は「この馬も少し捌きは硬いかも」と話していた。しかし、新馬戦の1週前追い切りに騎乗した武豊騎手が「芝向きのフットワーク」と感触を掴んで、初戦からきっちり結果を出した。 2戦目も同じ距離、芝1800mのアイビーSだったが、舞台は東京。同じ距離を使うためにこの番組を選択したということもあるが「ダービー」を視野に入れた時、東京競馬場を経験させておくというのは、友道イズムのひとつでもある。ここでもきっちり結果を出して、次走は朝日杯FSという選択になる。 アイビーSの後、放牧に出て、栗東へ帰厩して最初に思ったこと。それが「馬体がパンプアップされた」というビジュアルの変化。その姿を見て、すぐに思い浮かんだのが、同じハーツクライ産駒のサリオス。「しなやか」というよりも「ごつい」という表現が分かりやすいかなというくらい迫力がある馬体で、そのサリオスは2019年朝日杯FSを勝っている。もう、この時点でドウデュースに「◎」を打つことはほぼ決まっていた。 しかし、POG取材で「母レキシールーが凄くいいんですよ」と安田隆行調教師(現在引退)から教えてもらっていたダノンスコーピオンも新馬、萩Sと連勝で朝日杯FSへ出走してくることが分かった。 困った、本当に困った。どちらも良い馬だし、G1を勝つ素質があるのはこれまでの経験で察することができた。でも、このレースで勝つのはどちらだろう。自分の感覚では1番人気、2番人気の扱いだが、世間評は重賞を勝ったセリフォス(1番人気)やジオグリフ(2番人気)に集まる。こんなおいしいレース、なんとしても的中させないといけない。