ウォール街幹部、プライベートクレジットと銀行融資の境界は曖昧
(ブルームバーグ): ウォール街の経営陣の多くが、プライベートクレジットと従来の銀行融資の境界は曖昧になりつつあると考えている。アポロ・グローバル・マネジメントのマーク・ローワン最高経営責任者(CEO)は、1年半後には一部の借り手からは両者の違いが分からなくなっているだろうと語った。
1兆7000億ドル(約261兆円)規模のプライベートクレジット市場は、投資適格ではない非公開企業や、従来型の銀行融資を受けられない企業に資金を提供することで、規模を拡大してきた。しかしアポロやブラックストーンなどの資産運用会社は現在、確立された企業への融資でも、伝統的なウォール街の金融機関に取って代わろうとしている。
「境界線が曖昧になるだろう」と、ローワン氏はリヤドで開催された「フューチャー・インベストメント・イニシアチブ(FII)」のパネル討論会で語った。「投資適格企業への融資で、1年半後にはパブリックとプライベートの違いは分からなくなるだろう。同じタイプ、同じ格付け、同じ規模の企業に貸し付けているだろう」と語った。
シティグループやゴールドマン・サックス・グループのような大手銀行にとって、ダイレクトレンダー(直接融資業者)が顧客を奪い、利益率の高い企業向け融資事業を吸い取ってしまうことは長年の脅威だった。
しかし、大手銀行の経営陣はそのリスクを繰り返し否定してきた。現在でも、多くの銀行は自社のバランスシートを縛ることなく収入を維持する手段として、大手資産運用会社と提携してプライベートクレジット事業に参入している。
例えば、シティグループは先月、アポロと提携して今後5年間に企業およびプライベートエクイティー投資会社向けの250億ドルの資金調達をアレンジすると発表した。現時点では、この提携は投資適格外の融資のみを対象とし北米に重点を置いているが、両社にはこの提携を拡大し対象地域を追加する余地がある。
「明らかにウィンウィンの機会だ。ローワン氏と私はそれを理解していると思う」とシティのジェーン・フレーザーCEOは述べた。「私たちは顧客に、プライベート市場かパブリック市場かの選択肢を与えることができる。アポロとの提携のウィンウィンはそこにあると思う」と語った