「フェースを開いて、アウトサイドイン」が究極のスウィング!? ベン・ホーガンの研究家が提案する「下回りスウィング」とは?
倉本 でも日本では、グリップエンドがビジネスゾーンに入っているべきという教えが根強いです。 田所 絶対的なことは、手元が、トップでは右肩にあり、インパクトでは左肩にあること。手元はむしろ移動しないといけないからこそ、右肩の高い位置からカットに入る動きが正しいのです。振り子だと手元がずっと体の中心にある。 またダウンでは、回転ではなく、落下に向かって出力しないといけない。すると手をまったくひねりませんし、落下なので重いクラブも使えます。また、アウトサイドから入れると、クラブが動くゾーンが長いから絶対優位。「デプス(奥行)」と言います。左に振ることができて効率も圧倒的にいい。
「下回り」はインパクトで「右手が下」
倉本 欧米選手がハーフウェイダウンからブンと振っている感じは、フィジカルの強さかと思ってそう表現していました。でも、振り子でアッパーになって減速するより効率がいいんですね。 田所 はい。クラブを落とせばいいので、年を取っても体にやさしいんですよ。 倉本 アメリカのゴルフを振り返ると、80~90年代は柔らかく振っていた時代もある。でも10年前にジョニー・ミラーが「近年の若手はフィニッシュにかけて体の左に振り抜いている」と。僕の時代は、手は体の前に来て左手をターゲットに向かって振っていました。
田所 まさに上回りですね。 倉本 もう1つ、ホーガンの「右手が下にある」という言葉がわからなくて。 田所 下回りでクラブを落とすと右手が下になります。上回り、下回りとは「クラブ使い」のこと。ホーガンはずっとしゃくっている感じ。だから本人は「右手は下」と言う。上回りである振り子スウィングは、振り遅れを利用しています。だから少しでもタイミングが合わないと右にいったり左にいったり。圧倒的に神経を使います。
「下回り」は五木ひろしの『横浜たそがれ』のイメージ
倉本 なるほど。下半身の動きはどうしたらいいのですか? 田所 振り子では地面反力で伸び上がりながら打ちます。グリップを上げる動作で加速しようとする。でも欧米選手は沈んで圧をかけている。縮んで打つんですよ。でも、まずは下半身の動きまであまり考えないほうがいい。それより最初にお話しした「バックフェースで打つ」感覚。ダウンからずっとバックフェースに風を当てるイメージです(上回りではフェースに風を当てる感じになる)。これをやると、自然に下半身も動くんです。 倉本 フェースを返すのもダメ? 田所 高い位置で出力し、高い位置で打っていくイメージですから。 倉本 (五木)“ひろし”ですね。 田所 そうです。『横浜たそがれ』を歌うときの動きです。 倉本 初心者も、いくつになっても下回りに変えられますか。 田所 もちろんです。下回りのイメージドリルがあるので、ぜひ試してください。