「フェースを開いて、アウトサイドイン」が究極のスウィング!? ベン・ホーガンの研究家が提案する「下回りスウィング」とは?
下回りスウィングはヘッドスピードも出る
倉本 クラブの構造とも密接な関係があるんですよね。 田所 はい。グリップよりヘッドが下にあると、ヘッドが“超わがまま”でコントロールできません。でもグリップよりヘッドが上にあるときに操作すると“超従順”。下回りでは手元よりヘッドが高い状態で動きを決めるからヘッドの動きに再現性が高くなる。上回りでは手元より下のヘッドを徹底的に練習してコントロールしようとするから効率が悪い。 また、クラブは本来、バックフェース側に倒れるほうが“気持ちいい”。そういうふうにデザインされている。それを無視して無理やり使おうとするから、練習が必要になります。ビジネスゾーンでは、フェースがボールに向くようにクラブがデザインされていますから操作してはいけない。しかし、90%以上のゴルファーが頑張って向ける練習をしている。ムリな動きにもなるからケガにもつながります。 倉本 ヘッドスピードや飛距離は下回りのほうが有利ですか? 田所 下回りはヘッドスピードも出ます。欧米の選手は打つタイミングが早く見えますよね。上回りは振り子だから最下点を運動エネルギーの最大として考え、遠心力でヘッドスピードを上げるイメージが強い。飛んだ瞬間が最速であとは減速します。でも、ずっと落下し続ける動きこそ速度アップには大切。 下回りだとクラブが体の周りを360度回りますし、ハーフウェイダウンあたりがインパクトのイメージですから(クラブが体から離れないうちにボールに触る)、質量、体圧が乗っていき、速度が上がるんです。
下回りの一番の肝は左手の”カップ”(手首の背屈=手の甲側に折れること)
倉本 僕は、下回りの一番の肝は左手の“カップ”だと思うんです。 田所 はい。左手首の背屈をカップと言います。これこそホーガンの秘密ではないかと。 倉本 本当ですか! カップとは、手の甲側に折れることですよね。 田所 トップで作ったカップを切り返しからフォローまで解かないイメージでスウィングします。これを振り子動作でやると絶対に振り遅れます。下回りでその動きを主観的にやるんですね。欧米の選手はドライバーでもダウンブローで打ちますよね。