クシュタール、7&iHD買収提示額の大幅引き上げない-アナリスト
(ブルームバーグ): カナダのコンビニエンスストア大手、アリマンタシォン・クシュタールがセブン&アイ・ホールディングスに新たに提示したとされる総額7兆円の買収提示額について、引き上げる余地はまだあるが、引き上げたとしても小幅にとどまる見込みだと、アナリストはみている。
協議開始を目指すクシュタールは先月、7&iHDに対し1株18.19ドル(約2700円)とする2回目の買収提案を行ったことが、関係者への取材で分かっている。ただ実質的な交渉は行われていないという。
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新たな提示額はクシュタールによる先の提案を約20%上回り、同社が買収提案していることが判明する前の8月半ばの7&iHD株価を約53%上回る水準だ。
TDカウエンのアナリスト、マイケル・ファン・アールスト氏は投資家向けリポートで、クシュタールは今回の提案で、潜在的なシナジー効果や事業売却を考慮した上で、7&iHDをEBITDA(利払い・税金・減価償却・償却控除前利益)の約7倍と評価していると指摘。これはクシュタールが通常、買収で支払う金額の上限に近いと説明した。
「過去のデータを見ると、シナジー効果考慮後で7倍を超えたことはないため、7&iHDのデータアクセスが認められ、われわれの想定を上回るシナジー効果が見込めない限り、クシュタールがはるかに高い額を示すとは考えにくい」と記した。
クシュタールは2回目の提案について公式には言及していないが、先月には、より大きな価値を見いだすとともに「友好的な協議を進めるために、適切な秘密保持契約(NDA)を締結する用意と意欲がある」と表明している。
カナダの調査会社テッブス・キャピタルのトップを務めるタイラー・テッブス氏は顧客向けリポートで、10%程度の「ちょっとしたキス」が必要になっても驚かないと指摘した。その場合、1株20ドル程度になる計算だ。