「運動=痩せる」は間違い?医師が解説する、運動とダイエットの落とし穴
ダイエットを成功させるためには、運動がとても大切だと思っている人は多いのではないでしょうか。ところが、特にダイエットの初期には積極的に運動をしすぎると逆効果になってしまうこともあるそうです。そこで今回は、ダイエットと運動の関係性について、YouTubeチャンネルの登録者数が37万人を誇る、医師でヘルスコーチの石黒成治先生に教えてもらいました。 ◇ ◇ ◇
運動をすると“ご褒美”を与えたくなってしまう
2016年に発表された「Licence to eat(食べる許可証)」という論文で、運動をすると多くの人は自分に食べる許可を与えてしまうという研究結果が示されています。 この研究では、70名の健康な男女に120kcalを消費する運動をしてもらい、片群には50kcalしか消費していないと伝え、もう片群には265kcalを消費したと嘘の情報を伝えました。 その後、オレンジジュースやチョコレートチップクッキーなどを自由に食べることを許可したところ、265kcalを消費したと言われた人たちは、チョコレートチップクッキーを大量に食べる傾向にあり、より大きなエネルギーを摂取する傾向にあることがわかりました。 より多くのカロリーを使ったと認識した人たちは、より大きな食べる許可を自分たちに与える傾向にあるということが示されています。 運動をして自分はやりきったと感じると、自分にご褒美を与えたくなるということです。
“運動”ではなく“楽しみ”として捉える
2014年に発表された「身体活動のフレーミングがその後の間食に与える影響」という論文もあります。身体活動のフレーミングとは、どのような認識で運動を行ったかということです。 同じ量の運動をするのですが、「景色のいい場所に散歩に行く」と言われた人と、「運動のためにウォーキングに行く」と言われた人に分け、楽しみのためか運動のためか、あらかじめ認識した上で運動をしてもらったところ、運動後の食欲に大きな影響を及ぼしました。 「運動をする」と言われた郡は、「楽しい散歩」と言われた群に比べて、35%くらい多くチョコレートプリンを食べたのです。 体を動かすときに、それが運動であると認識された場合は、自分により多くの報酬を与えたくなる。楽しみという場合には、報酬を与えるモチベーションが湧かないということです。 運動とすると苦行かもしれないですが、音楽を聴きながら歩くなど、楽しみとして捉え直すとストレスが少なくなるので、自分にご褒美を与えるというモチベーションが湧かないはずです。