【サブスクで観るならこの1本!】その男を怒らせてはいけない! “絶対に死なない”伝説の老兵がツルハシ1本で敵を討つ
サブスクで映画を観ることが当たり前となりつつある昨今、その豊富な作品数故に、一体何を観たら良いのか分からない。そんな風に感じたことが、あなたにもありませんか。本コラムでは、映画アドバイザーとして活躍するミヤザキタケルが水先案内人となり、選りすぐりの一本をあなたにお届け。今回は2022年制作の『SISU/シス 不死身の男』をご紹介します! ◇ 『SISU/シス 不死身の男』(2022年・フィンランド/イギリス/アメリカ) (配信:Amazon Prime Video) 【画像】映画に登場する不死身の男の愛犬“ウッコ”。犬は無事です 母国フィンランドでのロングランヒットをはじめ、日本でもスマッシュヒットを記録したヤルマリ・ヘランダー監督のバイオレンスアクション。第二次世界大戦末期のフィンランド。掘り当てた金(きん)を運び出す最中にナチス兵に目をつけられた老兵・コルピ(ヨルマ・トンミラ)。金を奪おうとしたナチス兵を殺したことで追われる身となってしまうのだが、ナチス兵たちは知らなかった。彼がフィンランド最強の伝説の兵士であることを……。 「シス」と聞いて『スター・ウォーズ』シリーズにおける悪の存在を真っ先に思い浮かべる方も多いと思うが、本作におけるそれはフィンランドに古くから伝わる言葉のこと。その意味は明確に翻訳できるものではないらしく、すべての希望が失われたときに現れる形なきもの、何があっても折れない心のようなものを指すらしい。「言葉ではなく行動で示せ」とはよく言うが、劇中で彼が言葉を発するのは1シーン。それも二言くらい。そう、彼は全て行動で示していく。 愛犬や愛馬を慈しむ姿、多勢に無勢の中でありながらも起点を利かせて敵を駆逐していく様、容赦のないバイオレンスシーン、死に抗い続ける不屈の精神。それら一つひとつがコルピという男のあり方を映し出し、やがて彼こそが“SISU”の体現者であるのだと理解する。そして、そういった人物こそが周囲に影響を及ぼしていくのだと、それは劇中においても現実においても変わらないことなのだと、誰もが自分なりの“SISU”をその身に宿すべきなのだと気付かされる。91分と尺も短く、細かいことは考えずに楽しむことのできるバイオレンスアクション。スカッとしたい時にオススメです!! (C) 2022 FREEZING POINT OY AND IMMORTAL SISU UK LTD. ALL RIGHTS RESERVED. ※本稿記載の配信サービスは執筆時点のものになります。 ミヤザキタケル 1986年生まれ、長野県出身。2015年より「映画アドバイザー」として活動を始める。 WOWOW・宝島社sweet・DOKUSOマガジンでの連載のほか、ラジオ・配信番組・雑誌などで映画を紹介。イベント登壇、MC、映画祭審査員、BRUTUS「30人のシネマコンシェルジュ」など幅広く活動中。
ミヤザキタケル