ヘス氏のシェブロン取締役就任を当局阻止、産油国と不適切な意思疎通
(ブルームバーグ): 米石油大手シェブロンが530億ドル(約7兆5900億円)で計画する同業ヘスの買収は、米規制当局の承認を得た。ただしジョン・ヘス最高経営責任者(CEO)が合併後の取締役に就任しないという条件を付けた。同氏が過去に石油輸出国機構(OPEC)と不適切な意思疎通を図ったことが問題視されている。
米連邦取引委員会(FTC)は30日、ヘス氏がOPEC加盟国や協力国に産油量の安定化と在庫取り崩しを奨励したことがあったと指摘した。
FTCの競争局ディレクター、ヘンリー・リウ氏は「世界の産油量やその他原油市場の競争に関する側面において、ヘス氏が競合相手と交わしたやりとりは、同氏がシェブロン取締役に就任する資格を否定するものだ」と発表資料で説明した。
ヘスはジョン・ヘス氏の父が約1世紀前に創業した。昨年10月に発表された買収合意に基づけば、ヘス家が保有する同社持ち分は約50億ドル相当。ヘス氏(70)はシェブロンによる買収完了後、同社の最大株主になる。
FTCが石油大手による同業買収に絡み、買収標的の経営幹部が買収元の取締役に就任することを阻止したのは、今年これが2件目。FTCは5月、エクソンによるパイオニア・ナチュラル・リソーシズ買収を承認するにあたり、パイオニアのシェフィールドCEOの取締役就任を禁じた。OPEC当局者とのテキストメッセージや電子メールが「共謀行為」に値することを根拠としている。
シェブロンは反トラスト法に基づく審査をクリアしたものの、ヘス買収を完了するには南米ガイアナの油田権益30%を巡り、エクソン・モービルと中国海洋石油(CNOOC)との係争仲裁で勝利しなくてはならない。
原題:FTC Cites OPEC in Barring John Hess from Chevron’s Board (2)(抜粋)
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Kevin Crowley, Leah Nylen