「メレンゲ」「いいとも」そして両親……「笑顔でお別れ」久本雅美の流儀
MCとして数々のテレビ番組で活躍する「マチャミ」こと久本雅美(63)。昨年終了した「メレンゲの気持ち」(日本テレビ系)のほか「笑っていいとも!」(フジテレビ系)など、平成テレビ史を彩る長寿番組の顔であり続けた傍ら、病と闘う両親との日々があった。母危篤の知らせを受け、かけつけた大阪から翌日には仕事のため東京へ舞い戻ったりと、奮闘を続けた久本。彼女を取り巻く環境はどのようなものだったのか。 (Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部)
「これ何か起きたな」メレンゲ終了前、マネージャーの一言で察した異変
「いやぁ、なんか1年近くも経った気がしないですね。言われて、あぁ1年経ったんだ、みたいな。トークが好きなので自分のライフワークでもあった『メレンゲの気持ち』がなくなってそれができないっていうのが私の中では欲求不満というか(笑)、寂しいですね」 自身最長のレギュラー番組「メレンゲの気持ち」終了からまもなく1年が経とうとしている。 「25年も続くと思ってなかったです。番組開始当初は、私がお昼の番組で視聴者のみなさんに受け入れてもらえるのかなとか、お役に立てるんだろうかという不安や緊張がありました。でもスタッフの皆さんが本当にいいものをつくろうと頑張ってくださるなかで、途中からは1年でも長く続けたいという気持ちでしたね」 「メレンゲの気持ち」は1996年に開始した。久本をメインMCに据え、サブMCには文字通り多種多様な面々が並ぶ。彼らのエピソードを尋ねると、思い出し笑いをこらえきれずに語りだした。 「浅田美代子ちゃんと飲んでるときに『ねぇ、なんで~? なんでメレンゲにキャッチないの? 普通あるよね? キャッチ』。キャッチっていうのは顔を照らすライトなんですが、ないのおかしくない? という話になって、そこからメレンゲにもできたんです(笑)。今はもう私もキャッチ命ですけど、ライトが強すぎてカンペが見えないこともありました(笑)」
「芦田愛菜ちゃんは気遣いがすばらしかったです。楽屋挨拶にきてくれたときに、私が電話してたんですよ。そしたら『お電話中、大変失礼いたしました』って。小学生だよ? 思わず「師匠!」って言いそうになりました。番組中も偉くて、大人の話って難しくてわからないじゃないですか。そのときはしっかり『うんうん』って聞いてくれて。でもわかりやすいギャグとかが入るとケラケラケラッ! となって、『あ、やっぱり子どもだなぁ』とほっとして、かわいいなぁと思って見てました」 女優や子役、元アスリートやアイドルなどバラエティーとは縁遠いサブMCの舵取りにはさぞかし苦心したのでは……。 「やりにくかった人は一人もいなかったですね。みんなそれぞれの個性があって盛り上げてくださってた。誰でもウェルカムというか、むしろやったことない人とやりたいので全然OKでした。今もみなさんのテレビでの活躍を見ると『ああ~! 頑張ってる頑張ってる!』と親戚のおばちゃんの気持ちです」 メンバーとスタッフに恵まれ、ゲストに「来てよかった」と思ってもらえるようにと続けてきた番組。順風満帆だった旅路に終わりを告げたのは、マネージャーからの「話がある」という言葉からだった。 「これ何か起きたな、と思いました。いいことだとね、『あ、ちょっと時間ください、今度のことで』ってすぐ言えるじゃないですか。でもびっくりしましたね。まさかの」 久本がそう感じるのも無理はない。番組は平均世帯視聴率7~8%を獲得し、同時間帯でほぼトップの座を維持していたからだ。コロナ禍で減少した放送収入を補うためのコスト削減を終了の一因とする週刊誌報道もあった。 「これもひとつの時代です。始まったら終わるのは世の常ですから。25年やらせていただいたことなので感謝のほうが大きかったですね」