「メレンゲ」「いいとも」そして両親……「笑顔でお別れ」久本雅美の流儀
番組最後の挨拶は、持ちギャグ「よろちくび~!」で締めくくった。 「私の最後のおもてなしだったっていう(笑)。泣いて終わるよりかは笑いじゃないですか。湿っぽいのは嫌なので、ありがとうございました、今後ともよろちくび~! って」
穏やかで不思議なタモリとの最高の17年
昼の顔としての久本の代表作がもう一つある。「笑っていいとも!」だ。32年続いた長寿番組の中で17年にわたってレギュラー出演し続けた。泰然自若としたタモリが培った場は、最高に居心地がよかったと振り返る。 「常に淡々と、誰に対しても変わらない平等感というか。『いいとも』以外でお会いしても同じで、不思議な人ですよね。若い子たちがワーキャー出てきたときはタモさんは穏やかに笑って、ときどきボソボソッと言うから『ちょっとタモさんがこう言ってるよー』なんてやってましたね」
2010年の「いいとも」卒業後は、裏番組の「ヒルナンデス!」(日本テレビ系)に活躍の場を移し、自身のコーナーを持つなど邁進している。そういった事情の配慮もあってか、「笑っていいとも!グランドフィナーレ」への出演はかなわなかった。 「タモさんにお会いできないのは残念でしたけれども、感謝の手紙を書きました。本当にありがとうございます、お世話になりましたと。『いいとも』に関しても感謝しかないですね」 「笑っていいとも!」女性レギュラーとしては最長となる17年。その歴史において久本がやむをえず遅刻をしてしまった回が一度だけある。
母危篤の現場から生放送へ。背中押した母の思い
翌日に「いいとも」の生放送を控えたその日、久本は母危篤の知らせを受けて地元・大阪にいた。母・敦子さんは病気がちで、久本が物心ついたときにはすでに入退院を繰り返す状態だった。なんとか峠を越え、持ち直したものの油断はできない。だが母は自分のことよりも周囲を気にかける人だった。家族もそれを理解し、「大丈夫だよ。姉ちゃん行っちゃっていいよ」と送り出した。 番組開始の時間に間に合う予定が、新幹線の遅れで途中からの参加となってしまった久本。それでも私服姿のままスタジオの後ろ手からサプライズ登場し、「遅刻してゴメーン!」と言って股間をバーン! とたたき、笑いをかっさらったのだった。 「母も自分のことで迷惑をかけたくないっていう人だった。私はスタジオに途中から入って大丈夫かなぁって、そっちの緊張感のほうが大きかったですね」