リアルに仙人が住んでいた高畑山、九番山頂コンビの縦走トレーニングで山足を鍛える
かつての昭和の時代に高畑山には仙人と呼ばれた人物が実在していたそうです。昭和の登山ブームでは仙人会いたさに、高畑山に多くの登山者が足を運んだと言われています。観光協会発行のPDF版登山パンフレットにも、当時の仙人の画像が掲載されているほどにスタンダードな存在です。今では静かな沢音を耳にしながらの秀麗富士山と出会う山行になります。 【写真】秀麗富嶽九番山頂の高畑山からの倉岳山登山のルートを見る(全9枚)
古より不死の峯として伝えられてきた山に住んだ仙人
高畑山は古くは江戸時代のこの地方の地誌である甲斐国誌において「不死の峯」と記されていたそうです。霊験あらたかな山として伝えられてきたようですね。それが高畑山と呼ばれたのは近代に入ってからのことのようです。不死の峯と呼ばれていたことを知ってかしらずか、昭和の時代には仙人が住んでいました。 実際には県内の方が、生活用具数点ばかり持ち込んで勝手に住んでいたようなのですが、朴訥、温厚な人柄で地元の方々に受け入れられ、また登山者とも交流し、時とともに仙人と呼ばれるように至ったようです。登山道上には公式の表示板ではありませんが、手書きの「仙人小屋跡地」の表示板が立っています。
同じ九番山頂の倉岳山との縦走のススメ
高畑山へはJR中央本線・鳥沢駅から小篠集落を抜け、小篠貯水池の脇を進み、石仏のある分岐から穴路峠を廻るオシノ沢ルートと、先述の仙人小屋跡地を通る直登ルートの2つがあります。または同じ九番山頂の倉岳山からの縦走ルートと、鳥沢駅とは山を挟んだ反対側の上野原市・浜沢からの入山ルートとなり、倉岳山経由となります。マイカー派の方なら、こちらの浜沢にあるバス停の駐車スペースが利用できます。 仙人小屋跡地までは比較的穏やかな傾斜の登山道です。苔むす穏やかなオシノ沢のせせらぎに耳を傾けながら進みます。石仏の分岐を右手に進みます。ほどなくして仙人小屋跡地。なんとなくですがフラットなプチ広場風ではありますが、それも仙人伝説を聞きかじっているからこその先入観がもたらすものかもしれません。 仙人小屋跡地をやり過ごしてから斜度は険しくなっていきます。つづら折りの急勾配のタフロードを経て標高982mの山頂に飛び出ます。山頂は決して広いとはいえず、ベンチもありません。南側に富士山の眺望はあります。 道志山系の御正体山と杓子山で作り上げる十二単をまとった富士山を見ることができます。ただ、あいにくの木立で富士山の美しい稜線に枝がかかりまくるかもしれません。可能ならば、隣の倉岳山との縦走で、富士山眺望の比較を楽しんでみてはいかがでしょうか。
ソトラバ編集部