アベノミクスがプロスポーツに与える光と影
師走の解散・総選挙は予想通りに自民が圧勝した。安倍首相は、「2年間の安倍政権の信任を受けた」と語り、まだ道半ばとする、経済政策、アベノミクスを今後も推進する考えであることを明言した。アベノミクスは、金融緩和と財政出動で急激な円安をもたらす結果となって、国内の輸入産業は、軒並み悲鳴をあげているが、その代表的な輸入産業であるプロスポーツ界にも、少なからず打撃を与えている。 切実なのは、12月30日、31日の年末に、TBS、フジ、テレビ東京が、それぞれゴールデンに番組を組み、世界タイトル戦を実に8試合も組んだボクシング界。特にチャンピオンを呼ぶ際には高額なファイトマネーが発生するが、今回、本場アメリカのビッグネームであるWBO、WBA世界Sバンタム級統一王者のギジェルモ・リゴンドー(キューバ)の招聘には、50万ドルもの破格なファイトマネーがかけられたとされる。 もちろん支払いは、すべてドル立てで、前日の計量を終えるまでに全額を支払わねばならない契約。リゴンドー戦のプロモーターである協栄ジムの金平桂一郎・会長は、「円安の影響をモロ受けた。経費も含め、数百万円の規模で違ってくる。ボクシングのような潤沢に資金があるわけではないプロスポーツは大きな影響を受ける」と、苦しい胸のうちを明かした。 組織を統一できずに国際バスケットボール連盟から国際試合への参加資格を停止されるなど、すったもんだしているTKbjリーグのある経営者も、「円安で外国人選手への支払いにマイナスの影響が出ている。我々のように人件費がチーム経営の出費の多くを占めるプロスポーツでは、その影響は小さくない。ではアベノミクスでスポンサーが増えたか、観客動員が増えたかというと実感はない。勝敗とゲーム内容がプロスポーツの最大の要因というのは変わらない」という。TKbjリーグは、サラリーキャップ制度を導入していて、外国人への年俸は、1000万円から3000万円程度だが、人件費が経営支出の多くを占める経営構造となっているだけに大きな痛手だ。 では、プロ野球界は、どうだろうか。 プロ野球では、年俸を10等分、もしくは12等分にして、毎月、決まった日に口座振込みされるケースがほとんどだ。外国人の場合、年俸から差し引く形で、ミールマネーなどを生活費として、毎週、数十万円を支払い、残りの額をまとめて払うようなケースなどもあるが、基本的には日本人選手と同じく10か月から12か月に分けて口座に振り込まれ、11末もしくは、12月にインセンティブ分を清算して差額が振り込まれるケースが多い。 来季の年俸に関しては、1月末から支払いがスタートすることになり、あと3か月後に為替レートがどう推移しているかに経営者もヤキモキしている。