「ひょっとして男性更年期?」 心身の不調と向き合う方法を医師が解説
自分で出来る「男性更年期対策」は
食事や睡眠などの生活習慣の見直し
自分自身で行える男性更年期対策として、辻村教授が患者に行う「生活指導」を教えてもらった。まずチェックしたいのは、肥満傾向があるかどうか。「メタボリックシンドロームと男性ホルモンの関係性は、すでに多くの論文で指摘されています。肥満気味の方は、テストステロンも低下しやすい。適度な運動と食生活の見直しが必要です」。
適度な運動とは、ウォーキング、ジョギング、スクワットのような軽い運動を1日30分程度行うこと。これにより、テストステロン値が上昇しやすくなる。反対に長時間のハードな運動は、テストステロン値を下げる場合があるので注意が必要だ。
「食生活に関しては、コレステロール値を上げるような脂っこい食材は避けて頂きたいですね。野菜を積極的に摂り、なかでも『玉ねぎ』は、テストステロン値を上げる食材として知られています。また、男性ホルモンの材料となる、『たんぱく質』の摂取も大切でしょう」
もう1つ注目したいのは、「睡眠」に関することだ。こちらもすでに論文が沢山存在し、睡眠時間が6時間以下の男性は、テストステロン値が低下しやすいという。「睡眠時間に関しては諸説ありますが、7時間程度が最もテストステロン数値が上がるとされています。あとは『笑うこと』ですね。コメディ映画を観たあとに、テストステロン値が上がるというデータが存在します」。
辻村教授の話を総合すると、「バランスのよい食生活を心がける」「適度な運動をする」「7時間の睡眠をとる」「よく笑う」と、いずれも健康のためによいとされる一般的な事柄ばかりではある。しかし、働き盛りの多忙な男性には、なかなか難しいのも実情だろう。
その一方で何もしないままでは、よくて現状維持。実際のところ、年齢と共に体内のテストステロンは減少していく。何か1つでも「できることから取り入れてみる」のはいかがだろう?そして何より、体力や気力の衰え、発汗など、若い頃とは違う不調に悩んだら、専門医への相談を選択肢に入れて欲しい。以前の記事で記した通り「原因が分からず」「誰にも相談出来ず」不調で苦しんでいる男性は、少なくないと感じるからだ。
男女問わず「更年期症状の辛さ」は、該当の世代にならないとピンとこない事柄ではある。当事者である40代以上の男性はもちろん、若い世代の男性や女性にも、男性更年期への理解が深まることを心から願っている。