「ひょっとして男性更年期?」 心身の不調と向き合う方法を医師が解説
本来ホルモンは複雑に連動して働くため、不調の原因を探るなら、女性ホルモンやステロイドホルモンも含めた、総合的な検査が望ましい。しかし、現状このような検査を実施しているのは、専門的に男性更年期を診療する、一部の医療機関に限られるという。身近に男性更年期の専門外来がない場合は、泌尿器科に相談するのが現実的な選択肢となりそうだ。
泌尿器科ではどんな治療が受けられる?
血液検査でテストステロン値が低かった場合、また基準より高かったとしても、更年期症状が見られる場合、治療において第1選択肢となるのが「ホルモン補充療法」だ。具体的には、「テストステロンの筋肉注射」である。「注射後数日で体内のテストステロン値が上昇し、代謝によって減少しながら効果は3週間~1ヶ月程度持続します。個人差はありますが、月に1度くらいの頻度で接種するのが一般的です」。
注射は保険が適用されることもあるが、睾丸を摘出したケースなどを除くと自費のことが多い。自費の場合、価格は医療機関によってまちまちだが5000円前後が主流という。
頻繁にクリニックに通うのが難しい場合は、次の注射までの間に「男性ホルモンクリーム」の使用を推奨される。陰嚢やあごの下に塗布し、皮膚を通してテストステロンをゆるやかに補うクリームだ。「一般的な泌尿器科の治療ガイドラインでは『グローミン』を推奨します。第1類薬品なので、薬剤師のいるドラッグストアで購入できますが、どこにでも置いてある薬ではないため、薬局への確認が必要でしょう。男性更年期を専門的に診療する医療機関では、より濃度の高い海外製のクリームや、独自処方のクリームを処方する場合もあります」。
その他に漢方薬を用いることもあるが、「男性更年期の主要な治療法はこの2つに代表されます」。女性の更年期は、漢方薬や点滴など治療の選択肢が複数あり、すでに市販の漢方薬やサプリメントも充実していることを考えると選択肢が限定されている印象は否めない。他に何か「自分でできる対策」はないのだろうか?