「アンダーカバー」高橋盾が語る「ジーユー」コラボ 「冗談抜きで驚きのクオリティー」
高橋:何ででしょう(笑)。純粋に面白いもの、自分が興味のあるものに対してモノ作りをするという姿勢を崩していないからでしょうか。この時代だから余計そういうブランドが少なくなってきている気がします。ビジネスベースでモノを作っていくのも大事なことだとは思うんですが、そこに自分たちにしかできないオリジナリティーのあるクリエイションを発表していくこと。それをパリでも20年やってきて、ようやくそれが定着してきたのかなと。嬉しいことですよね。
ーー日本人の若手デザイナーたちは、近年んあまり世界に飛び出していっていない印象を受けます。日本の若手デザイナーに向けてメッセージはありますか?
高橋:今の時代だと、自分がパリにわざわざ行ってショーをしなくてもSNSを使ってワールドワイドなことが出来るじゃないですか。それが主流であれば(日本で発表を続けても)世界に出ていないわけではないし、時代に合ったやり方をすればいいと思います。パリコレに参加することだけが世界に出ることではないし、やり方は色々あります。
自分はパリに行ってコレクションを発表することに変わりはないのですが、若い人たちの動きを見るとSNS上で発表するのが主流になっている。時代は変わったなぁとは思いますよね。SNSで見せることがメインだと、デザインというよりは、どれだけキャッチーに伝えられたかの良し悪しみたいな話にもなってくる。われわれももちろんSNSは活用しますが、自分たちにしかできないデザインを届けていければ、今の時代、SNSのようなツールがあったとしても自分たちは自分たちのやり方があると思っています。
ーー最近画家としても活躍されていますが、絵のコンセプトや、絵を描くことは高橋さんにとってどのような位置付けですか?
高橋:息抜きにはなっていると思いますし、自分の内側にあるものを表現するクリエーションの一部だと思います。ファッションは絵に比べて制限が多い。絵は何でもありなので、何でもありすぎて、どうまとめていくかを考えると、意外とファッションをデザインすの過程に近いんです。
僕の絵のダークな世界観は「アンダーカバー」に通じるところがあります。日常着にどうアレンジを加えているかに近い作業。自分の生活で起こっていることや世の中で起こっていること、混沌とした世界の状況が絵に表れている。自分と世の中の距離感が絵に反映されていると思います。ファッションデザインを洗練されたものにするにはクリエイションのいろんなアウトプットがあった方がいい。ファッションのデザインでできないことを他のアート活動で見せているんだと思います。