イタリアの犯罪組織、観光業で年間5300億円 脆弱企業を搾取
【AFP=時事】イタリアの調査機関デモスコピカは10日、同国の犯罪組織が観光業で年間33億ユーロ(約5300億円)稼いでおり、今後予定されている大規模イベントでそれ以上の金額を稼ぐ用意も整えていると警告した。 【写真】脱獄した伊マフィアのボス、仏コルシカ島で逮捕 犯罪組織はホテルからレストランまで、脆弱(ぜいじゃく)な企業を標的にしており、ローマ・カトリック教会の聖年や2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪などでも利益を得るとみられている。 デモスコピカのトップ、ラファエレ・リオ氏は報告書で、「イタリアの観光業が攻撃を受けている。2026年ミラノ・コルティナダンペッツォ冬季五輪や2025年の聖年にマフィアは食指を動かしている」と指摘した。 同報告書によれば、カラブリア州を拠点にしている犯罪組織「ヌドランゲタ」だけで、犯罪組織全体の稼ぎの半分以上を占めている。 カンパニア州を拠点とする犯罪組織「カモッラ」やシチリア州の「マフィア」、プーリア州の組織犯罪集団も観光業で多額の金銭を稼いでいる。 こうした犯罪組織の拠点は南部だが、裕福な北部の観光業でも約15億ユーロ(2400億円)を稼いでいるという。 リオ氏は「脆弱な企業7000社以上が犯罪組織の格好の獲物になる恐れがある」と警告。観光業界の全4万8000社の15%近くが流動性と債務危機にあえいでおり、犯罪組織の「支援の申し出」の対象になりやすいとしている。 犯罪組織は不正利得の洗浄を兼ねて、厳しい条件で企業に金銭を貸し付けている。 リオ氏は「マフィアは、金に困った起業家を搾取する犯罪福祉制度を構築している」「財務的存続を約束し、負債を肩代わりし、流動性を保証するが、代償は非常に高くつく。企業の支配権か完全買収だ」と指摘。 「このゆがんだ制度は、犯罪組織の縄張り内での勢力を強めるだけでは済まない。マネーロンダリング(資金洗浄)、高利貸し、恐喝の流れを助長し、わが国の合法経済を窒息させている」と警鐘を鳴らした。【翻訳編集】 AFPBB News