「民間防衛」でNATOの模範、フィンランドの大規模シェルターを訪ねる
公園にあるメリハカ・シェルターの入り口(以下、写真はいずれも2023年10月27日、筆者撮影)
北大西洋条約機構(NATO)加盟などで、ロシアと1300キロの国境で隣接する北欧の国フィンランドの国防意識の高さが注目されている。それを物語るのが、全土に設置されたシェルター(地下壕)だ。首都ヘルシンキのメリハカ民間防衛シェルター(Merihaka civil defence shelter)を取材し、有事の備えについて考えた。 ヘルシンキ中央駅から歩いて15分ほど、市中心部にある公園にガラス張りの建物がぽつんと建っている。何の施設だろうといぶかしく思うが、この地下20メートルに、広さ1万4750平方メートル(東京ドームの約3分の1)シェルターが広がっている。 今年(2023年)10月27日の朝9時にこのガラス張りの建物で、ヘルシンキ市救助部(City Rescue Department)計画ユニットのトゥーラ・ルオマさん(52)と、広報担当のニナ・ヤルヴェンキュラさん(53)と待ち合わせた。紺色の制服姿の2人が、時間通りに笑顔で迎えてくれた。「1時間ほど時間を取ってあります。さっそく下に降りましょう」と言われ、エレベーターに乗り込んだ。(以下、ルオマさんとヤンヴェンキュラさんは2人で同内容のことを話すことも多かったので、発言者をあえて特定しない)
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三好範英