更年期の頭痛…実は「いつのまにか高血圧」の可能性が!【更年期症状と間違えやすい病気に要注意! ④】
吐き気を伴うようなら脳腫瘍の可能性も!
「決して頻度は高くないのですが、脳腫瘍ということもあります。脳腫瘍は脳の中にできるできものの総称です。 腫瘍は悪性度により良性脳腫瘍と悪性脳腫瘍に分けられます。脳の組織からできた腫瘍を原発性脳腫瘍、体のほかの部位にできたがんなどの細胞が血液で運ばれて脳に入り、脳内で大きくなったものを転移性脳腫瘍と呼びます。 初期には症状はないことが多いのですが、次第に大きくなり脳が圧迫されると、頭痛が起きることがあります。特に頭痛が慢性的で朝方に強まる傾向です。また、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。 腫瘍ができている部位により、その部位特有の症状が現れます。 例えば、大脳にできると呂律が回らない、言葉が出にくくなるといった症状が。小脳にできると手足のしびれや動きが悪くなるなど運動器に問題が。視床下部や下垂体、視交叉(しこうさ)などにできると、視力や視野に障害が起こります。 もしも症状が頭痛だけで、ホットフラッシュなどのほかの更年期症状がない場合には、まずは内科もしくは頭痛外来、脳腫瘍が疑われる場合には脳神経外科などを受診することをおすすめします」 ◆頭痛→すぐに治ってしまう+ほかの更年期症状(ホットフラッシュ、のぼせ、冷え、肩こり、不眠、イライラなど)がある ≫≫婦人科へ ◆頭痛→長引く+ほかの更年期症状なし ≫≫内科、頭痛外来、脳神経外科へ 更年期世代になって頭痛がするようになったら、一度は医療機関を受診して、原因になるような病気がないか検査すると安心だ。自己判断で更年期と決めつけて我慢せずに、専門医と相談のうえ適切に対処することが重要だ。
【教えてくれたのは】 小川真里子さん 産婦人科医、医学博士。福島県立医科大学 ふくしま子ども・女性医療支援センター 特任教授。日本産科婦人科学会・日本女性医学学会女性ヘルスケア専門医・指導医。専門は更年期医療学、女性心身医学、女性ヘルスケア。相談やカウンセリングを中心としたケアサポートとともに、最新のテクノロジーや視点を取り入れて、更年期を取り巻く環境や文化を積極的にアップデート。 イラスト/内藤しなこ 取材・原文/山村浩子