「一番大切な持ち物は…」 高校生が作った“防災リュック” 震災を知らない子どもたちへ【東日本大震災13年の“あれから”】
岩手の県立高校に通っていた小野寺麻緒さんは高校2年生のとき、企業に協力を求め、「子ども向けの防災リュック」を作りました。震災を知らない子どもたちに防災の知識を伝え、災害に備えるきっかけにしてもらうために―――。1年前、麻緒さんは、県内の高校生が自分の研究を発表する場で「一番大切な持ち物は命」と訴えていました。 【映像】子ども向けの“防災リュック” 開発に突き動かしたことは… 2024年春、大学生となる麻緒さん。1人で活動を続けてきましたが、社会人や大学生の仲間ができ、一緒に、地元の子どもたちに防災の大切さを伝える授業をしています。
■震災を知らない子どもたちに防災を伝える
震災で1800人を超える命が失われた岩手・陸前高田市。市内にある高田高校の全校生徒358人のうち、1割の生徒は親や兄弟を亡くし、3割の生徒の家が被災しました。小野寺麻緒さんは、5歳の時に津波で家を流され、避難生活を余儀なくされました。 その経験から、総合学習の時間を使って「子ども向けの防災リュック」の制作に取り組んできました。震災を知らない子どもたちに防災の知識を伝え、災害に備えるきっかけにしてもらいたいという思いからです。
■仲良かった子たちも突然いなくなっちゃって…
構想から1年、リュックが完成しました。障がいのある作家のアート商品を展開する県内の企業「ヘラルボニー」に自ら協力を依頼。知的障害のある陸前高田市の画家、田﨑飛鳥さんの絵を麻緒さんが選び、「2011年3月11日」の日付も記されています。 小野寺麻緒さん 「防災リュックっぽくない防災リュックをめざしました」 「こういうおしゃれなデザインにしたら、普段使いもできるし、楽しく防災を学べるかなと思ってこういうデザインにしました」 リュックは市の助成金を活用して作った非売品。市内の高田小学校の1年生に配り、中身を一緒に考える授業をする際、教材として使う予定です。なぜそこまでして防災の大切さを伝えたいのか。 小野寺麻緒さん 「幼稚園の友達なんですけど…。すごい仲良かった子たちも、突然いなくなっちゃったから…」 「いまでも辛いし、悲しくなるんですけど…。それでもやっぱり前をむいて歩いていかないとなって思っているので、活動はそういう気持ちが大きくて始めようと思いました」