「揚げ物油」で飛行機が飛ぶ 航空燃料を廃油から造るプロジェクト 回収や安定供給の問題解決なるか
■海外輸入に頼る現状 「初の国産SAF」の製造へ
日本政府も2030年から航空機に給油する燃料のうち少なくとも10パーセントを「SAF」にすることを掲げています。しかし航空会社からは… 。 【JALの担当者】「日本の航空業界の最大の課題は、国内において、SAFの量産、安定供給が進んでいないことです」 肝心のSAFは、海外からの輸入に頼っているのが現状。そこで今、「初の国産SAF」の製造を目指す大阪・堺市の工場に注目が集まっているのです。 【日揮ホールディングス 西村勇毅さん】「みんなで資源循環で脱炭素をやっていこうという取り組みで、外から買ってきてただ造ればいいのではなく、国産であることが非常に重要」 この工場は来年春から稼働し、年間3万キロリットルのSAFの製造を目指します。 政府が掲げる航空燃料の10パーセントをSAFとすると、東京~ロンドン間を約1050往復(2100回)飛行できるということです。 これで一安心と思いきや、課題となるのがそもそもSAFの原料となる使用済み油の調達。 【ポスト石油戦略研究所 大場紀章代表】「いまは廃食用油から作るものが中心だけど、廃食用油自体が世界中で争奪戦になっている」
■廃食用油 身近な場所での調達も 業者が引き取り
使用済み油が飛行機の新たな燃料に代わる「SAF」。原料となる使用済み油の調達は、私たちに身近なところでも行われています。 京都で100年以上続く老舗豆腐店。油揚げや厚揚げなど、油を使った商品が人気です。 【北浦豆腐店店主 北浦裕二さん(42)】「これはひろうす。寒い時期になると、炊いていただいたり、おでんに入れていただいたり、冬場はよく売れますね」 店では毎日、40リットルほどの油を使っていて、以前は廃棄方法に頭を悩ませていましたが、今では業者が引き取りに来てくれます。 【北浦豆腐店店主 北浦裕二さん】「有料じゃないんで、こちらとしては非常に助かっているところです。再利用してもらうのはうれしいです」 油を引き取ったのは、30年ほど前からバイオ燃料事業に取り組んできた、京都の会社、レボインターナショナル。使用済み油からディーゼルエンジン用のバイオ燃料を製造してきたノウハウを生かし、堺の国産SAF工場への油の調達を担当しています。