「意外な美点」を発見 “ジープ最小”のコンパクトSUV 新型「アベンジャー」公道での印象は? 気になる悪路走破性の実力とは?
ジープの現行ラインナップで最小のコンパクトSUV
ジープといえば“道なき道を突き進む究極のオフローダー”というイメージを持つ人も多いことでしょう。 【画像】「えっ!…」ジープなのにコーナリングが気持ちいい!? これがコンパクトSUVの新型「アベンジャー」です(30枚以上)
コアモデルである「ラングラー」などまさにそんな存在で、強靭な車体構造と抜群の走破性を誇る野性味あふれるモデルに仕上がっています。 ジープといえば、そのルーツは第二次世界大戦時にアメリカの陸軍の求めに応じて開発された小型の万能輸送車であり、「ラングラー」は今なおそのDNAを色濃く受け継いでいます。 しかし、イマドキのジープがラインナップするのは、そうした路線を踏襲するモデルだけではありません。 SUV人気の盛り上がりとともにラインナップを拡大。また、悪路を走らないSUVユーザーの増加を受けて、オフロード走破性よりもオンロードでの快適性や操縦安定性を重視するモデルも増えてきました。さらに、ボディサイズがコンパクトなモデルが増えたのも、昨今の流れといえるでしょう。 そんなジープの最新モデルである「アベンジャー」も、オフロードよりオンロードでの性能を重視したコンパクトSUVです。 全長は4105mmと、日本車のホンダ「ヴェゼル」よりもずっと小さくトヨタ「ヤリスクロス」よりも短いほど。全幅も1775mmで、「ヤリスクロス」プラス10mmしかないと聞けば、日本でも扱いやすいサイズだと理解できるでしょう。 これまでジープのラインナップ中、最も小さなモデルといえば「レネゲード」でした。そのボディサイズは全長4255mm、全幅1805mmですから、「アベンジャー」はさらにひと回りコンパクトなのです。 ちなみに、都市型モデルといってもジープだけに、やはり「アベンジャー」のオフロード性能が気になるという人も多いでしょう。 この点に関してジープは、「『アベンジャー』は前輪駆動車でありながら高い走破力を発揮、アプローチアングルとデパーチャーアングル、車両の最低地上高とともに、ジープならではのオフロード性能を確保しています」とアナウンス。 加えて、「ジープブランドの前輪駆動車として初めて“セレクテレイン”と“ヒルディセントコントロール”を標準装備」と説明しています。 “セレクトテレイン”とは、アクセルに対する駆動力の特性やトラクションコントロールを始めとする電子制御デバイスをシーンに合わせて切り替える、いわゆる“走行モード切り替え”機能。「エコ」や「スポーツ」に加えて、凍結した路面などに適した「スノー」、悪路向けの「マッド」や「サンド」も設定されています。 そんな「アベンジャー」ですが、特徴はボディサイズがコンパクトなだけではありません。ジープにとって非常に意味のある、大きなトピックがあるのです。それはBEV(電気自動車)を設定していること。というよりも、「アベンジャー」はジープ初のBEVとしてデビューしたのです。 欧州仕様にはすでに、エンジン車やマイルドハイブリッド車もラインナップされていますが、日本向けは現状、エンジンを搭載しないBEVだけの設定となります。 「あのジープがついにBEV?」、「街外れのオフロード走行時にバッテリー残量が少なくなったらどうするの?」。古くからのジープファンの中には、そうした思いを抱く人もいることでしょう。 しかし、ジープであってもBEVのラインナップが求められるのは、燃費規制が厳しい欧州市場では当然のこと。そもそも「アベンジャー」は、険しいオフロードを走破するようなクルマづくりはおこなっておらず、オフローダーの雰囲気を街乗りでも楽しむといったキャラクターなのです。そう考えれば、BEVが設定されるのも納得ですね。 前輪を駆動するモーターの最高出力は156psで、最大トルクは270Nm。バッテリー容量は54.06kWhで、WLTC計測による一充電走行距離は486kmとアナウンスされています。ていねいなドライブを心がければ、日常域での実走行で400km近く走れることでしょう。充電は200Vの普通充電に加えて、日本の規格であるCHAdeMOの急速充電にも対応しています。