「子どもへの欲→焦り」を最小化する3つの手段 「中堅校狙いでいい」と言う子どもにかけるべき言葉
「そんなに期待値は高くない」と思われるかもしれませんが、親の欲望は気づかないうちに、どんどん上がることがあります。「ここまでできるのだから、これもできるよね」「それもできたのなら、これももっとできるよね」と。 子どもが自分の意思で伸びようとする場合はまったく問題ありませんが、親の意思だけで進めると、このように期待値が勝手に上がり、そこに近づけようとして、指示、命令、脅迫、説得の4手段を使ってしまいます。その結果、子どものモチベーションを大きく下げていきます。
■子どもは親の笑顔が見たい ではどうすればいいでしょうか。簡単です。期待値を下げればいいのです。どこまで下げるかといいますと、究極まで下げていきます。究極まで下げた期待値とは、「この子が健康で生きているだけで感謝、満足」というレベルです。するとそれ以外の出来事は、すべてラッキーな事と受け取ることができます。 究極まで期待値を下げると、次のようなサイクルができます。 ①親が笑顔で「この子が健康で生きているだけで感謝、満足」と認識する
②親の子どもへの言葉かけ、態度が「もっと、もっと」から「承認」に変わる ③子どもの自己肯定感が上がる ④心が満たされるため、子どもが自主的に行動する ⑤親は、それをラッキーな出来事とまた「感謝」する ⑥子どもは自分を伸ばそうと挑戦していく 子どもは親の「笑顔」を見たがっています。これは36年間、教育事業に携わってきた筆者の考察結果ですが、例外はないと今でも考えています。子どもが頑張って成果を出したときには親の笑顔が自然と出てくると思いますが、もし子どもが頑張らず、伸びていなかったら、笑顔は出てこないかもしれません。だとしたら、子どもが結果を出すまで笑顔がないことになります。
しかし「この子が健康で生きているだけで感謝、満足」という究極の期待値まで“本気で”下げていけば、笑顔は日々自然と出てきます。そこから、上記のプラスのサイクルが回り出します。 (2)仮想の基準を手放す~子ども独自の基準を作る 仮想の基準とは、周囲からの同調圧力によって作られた基準、親のこだわりという基準、兄弟姉妹間の比較によって作られた基準のことを言います。つまり、何かとの比較によって自分の子どもを評価すると、どうしても足りない部分に目が行き、それを補うために、「もっと、もっと」が出てきます。もちろん、できていないことは、その子のペースで教えていきます。しかし、その子に合わせないで、親の欲や期待だけで進めてしまうと、子どものリズムは壊れていきます。