はやぶさ2、リュウグウ観測状況は? JAXA会見(全文3)今回が最後のイベント
異常があったリアクションホイールの位置付けは?
毎日新聞:あと1点だけ。リアクションホイール、X軸、Y軸、Z軸にそれぞれ付いているということですけど、今回Z方向に付いている2つのうちの1つということで、今回、異常があったのはそもそも予備として位置付けられていたものなのか、それともZに2つあるので、どちらかが使えるという意味での予備だったのか、その位置付けについて教えていただけますでしょうか。 久保田:はい。X、Y、Z、3つあって3軸姿勢制御するんですけど、Zが2つだった理由というのは、これは「はやぶさ」の経験で、Z軸が最後まで残っているとホイール1つでもなんとか姿勢を制御できて帰ってきたということがありますので、やはりZ軸というのは非常に重要だということで、何か、どの軸で起こるかというのは分かりませんけれども、Z軸を冗長系といいますか、予備にしていたと。予備のものが使ってなかったので、若干大きかったのかなと思いますけど、ちょっとその辺の原因等につきましてはちょっと調査をしているところですけど、3つホイールありますけども、ある条件では2つでもホイールで姿勢制御できますし、Z軸が1つ残っててもいろんなやり方でなんとか戻ってきたという実績もありますので、バックアップって何重にも考えていたんですけど、その1つが使っていなかったものを久しぶりに使ったときに起きた事象なのか、ほかに原因があるのかというのを今、調査をしているところです。 毎日新聞:ありがとうございます。 司会:次の方。その前の方。前から2列目の方。
データは全て取れない状況になっているのか
読売新聞:読売新聞の【マツダ 00:39:15】といいます。よろしくお願いします。幾つかあるんですけど、まずMINERVA-II2の関連でこれは吉田先生になるのかなと思います。先生の資料の7ページに搭載のセンサーの、どういうものが搭載されているかっていう説明があるんですけれども、これらの撮像カメラとか温度センサーとか、これらのデータは全て今、取れない状況になっているという理解でよろしいんでしょうか。 吉田:はい、現在の状況が変わらなければ、これらのデータを取ることは期待できないというふうに考えております。 読売新聞:分かりました。あと、MINERVA-II2を使った今回の意義的なところで、これは久保田先生か吉川先生になるのかなと思うんですが、先ほどの説明の中でリュウグウでの重力モデルの高精度化とか、あと吉川先生さっきおっしゃってましたけど小惑星内部の密度分布の違いを見るんだという説明ありましたけど、今回のものというのはリュウグウに限ったことなんでしょうか。例えばこのあと、ほかの何か天体とかを今後、探査していく上で、今回、MINERVA-II2を落として観測することで得た知見みたいなのが、どういうふうに役立つかという部分がありましたら教えてください。 久保田:天体の特に内部含めて物質の均整とか不均整、それから重力という点ではこういったものを使うことによって重力推定というのはより精度良くできますので、今後の将来ミッションにもこういったことが使える1つの手段を得ることにもなるかなというふうに思っております。また、工学的にも低高度に下りて分離するというやり方もありますし、もう少し高いところから天体表面に何かを落とすということもできる技術実証にもなるかなと思っておりまして、今回のこの方法を行うことによって将来ミッションへの1つの布石といいますか、使える手段がまた手に入れることができるかなというふうには思っています。 読売新聞:分かりました。あと、今回MINERVA-II2、小型の探査ロボ、4つの中では最後だと思うんですけど、これでリュウグウで行なうミッションというのは最後になるという理解でいいんでしょうか。 久保田:はい、そのとおりです。そろそろリュウグウを離れる準備も始めておりまして、今回が、こういったイベントっていうのは最後になるかなと思います。