英エレメントシックスとOrbray、世界最高品質の大口径単結晶人工ダイヤモンド事業で提携
次世代高機能パワー半導体などに展開
人工ダイヤモンドの開発・製造大手の英エレメントシックスと精密部品メーカーのOrbray(東京都足立区)は11日、世界最高品質の大口径単結晶人工ダイヤモンドの量産に向け、人工ダイヤモンド事業の共同研究開発を柱とする戦略的提携契約を締結したと発表した。両社は、人工ダイヤモンド基板のさらなる大口径化と量産技術を確立し、次世代高機能パワー半導体などの市場に展開していく。 次世代の最先端装置に使用される半導体は、従来素材では達成できない高い電力とエネルギー効率が要求される。ダイヤモンドはこうしたニーズに対応できる究極の半導体素材として注目されている。 エレメントシックスは、最大で直径150ミリメートルの大面積で均一な多結晶ダイヤモンドの成長を可能にする化学気相成長(CVD)プラットフォームを構築・開発した最初の企業。米オレゴン州に世界トップクラスのCVD施設を開設し、高品質の単結晶ダイヤモンド製品の持続可能な大規模生産を可能とした。Orbrayは、サファイア基板上に単結晶ダイヤモンドを成長させる独自のヘテロエピタキシャルプロセスの研究開発を推進、世界で初めて直径55ミリメートルの大口径単結晶ダイヤモンドの量産技術を確立した。 今回の提携により、単結晶CVDダイヤモンドの大口径化に強みを持つOrbrayの技術と、エレメントシックスの大面積成膜システムおよび高純度単結晶ダイヤモンド製造に関する専門技術を融合することで、6Gワイヤレスコンポーネント、高度なパワーエレクトロニクスやRFエレクトロニクス、センシング、熱マネジメント、量子デバイスなどの分野向けに、高品質な大口径単結晶ダイヤモンドの信頼性の高い供給を実現する。現在は10ミリメートル未満でしか製造できない高い品質レベルの大口径単結晶ダイヤモンド基板の提供を目指す。 生産はエレメントシックスの米オレゴン州の工場をメイン拠点として展開。主要販売先は、EV(電気自動車)向けパワー半導体や6G、量子デバイス、放射線センサー、宇宙ビジネスなどを想定し、早期に年間売上数十億円の事業規模確立を目指す。
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