「ディオール」、女性アーティストとのコラボにフォーカスした展覧会 高木由利子による作品も
「レッド・シューズ(Red Shoes)」というインスタレーションを通して、暴力によって亡くなった多くの女性たちを世界中で追悼してきたショーヴェとは、5月にメキシコで発表した2024年プレ・スプリング・コレクションでコラボレーション。白いコットンモスリンのドレスやジャケットには、真っ赤な糸で文字などが刺しゅうされ、女性に対する暴力の根絶を訴えるメッセージを込めている。今回の展覧会では、メキシコの女性刺しゅう家グループと協力し、「Mi derecho es decidir(選ぶのは私の権利)」や「Ni soy de tu propiedad(私はあなたの所有物ではありません)」と書かれた「ディオール」のビンテージジャケットのトワルなどが展示されている。ショーヴェは「私の作品全てがフェミニスト。マリア・グラツィアとは、同じエネルギーやシンクロニシティーを感じながら、自由に作業することができた。展示ルームは圧巻の一言で、私の作品をこのように展示してくれて心からうれしく思っている」とコメントした。
18年からさまざまなプロジェクトで「ディオール」とコラボレーションしてきたジェブは、スキャンした画像を何十枚も組み合わせてつくったデジタルアートを複数のルームで披露。メゾンのアイコンである“バー”ジャケットにフィーチャーしたルームでは、イヴ・サンローラン(Yves Saint Laurent)やボアン、ジャンフランコ・フェレ(Gianfranco Ferre)、ジョン・ガリアーノ(John Galliano)、ラフ・シモンズ(Raf Simons)、キウリら歴代のアーティスティック・ディレクターが再解釈してきたアーカイブや、ムッシュが愛用していた椅子と並んで展示されている。「私は47年の『ディオール』のクチュールドレスを、ナポレオンのコートやマリー・アントワネットのコルセットと区別しないようにしている。どちらもエレガンスと過去への賛美であり、人はそうした記憶や感情を呼び起こすようなプルースト的現象を再現しようとするが、それはとても儚いものでもある。作品はファッション写真ではなく、あえて少し風変わりな印象をもたせた」とジェブ。