大卒よりも高卒? 日本とは全く違う、塾も受験もないフィンランド人の「学歴」の考え方
◆大学は自立した学習者のためのもの
フィンランドの大学は、日本の大学と違って、とても緩やかな機関である。建築的にも、門があったり、壁で囲まれていたりするわけでは必ずしもなく、街中に他の建物と混ざっていることが多い。また1年生、2年生、3年生、4年生という区分がなく、それぞれの学年用のクラスもない。自分の都合やスケジュールに合わせて、いつ何を取るかを決めるのが普通だ。ただし、日本に比べると提供されるクラスの数は少ない。4年生で卒業するという決まりもないが、最近は、入学から6年以内に学士を取得することが奨励されている。 フィンランドの大学は、高校までにいかに学ぶかを学んで身につけ、その後は自立した学習者として学んでいくという考え方が基本になっている。歴史的に、大学は修士を取得する場所だった。学士も出すようになったのは、2000年代初め頃からである。従来、修士取得までに年数がかかりすぎていたこと、諸外国では学士も正当な学位として認められていること等がその理由だ。 この記事の執筆者:岩竹 美加子 1955(昭和30)年、東京都生まれ。フィンランド在住。ペンシルベニア大学大学院民俗学部博士課程修了。早稲田大学客員准教授、ヘルシンキ大学教授等を経て、同大学非常勤教授 (Dosentti)。著書に『PTAという国家装置』(青弓社)、『フィンランドの教育はなぜ世界一なのか』(新潮新書)等がある。
岩竹 美加子