<高校サッカー>現場復帰の71歳名将・小嶺監督がイズムを貫き1勝!
開始わずか7分で奪った先制点は、ロングボールをタビナスと右田が競り合い、こぼれ球が弾んでいる間に右田がタビナスの背後を突き、FW宇高魁人のスルーパスを冷静に流し込んで生まれている。ズバリ的中した采配にも、小嶺監督は「コーチ陣のおかげです」と豪快に笑い飛ばす。 「大した監督ではないですよ。ホンマに名前だけの監督で、そのへんのゴミと一緒ですわ。ただ、島原商業、国見とずっと監督をやってきて、苦しいと思ったことが一度もない。やっぱり指導者が楽しんで、体を張ってやらないと。子どもたち素晴らしい選手になってくれたら、指導者冥利に尽きるわけですから」 衝突音が聞こえてきそうな激しい球際の攻防。最終ラインからのロングボールに、一直線に抜け出してチャンスを作ろうとする攻撃陣。無尽蔵のスタミナを搭載しているのを物語るように、後半終了間際には一気呵成のカウンターから4対1の場面を作ってスタンドを沸かせた。 選手の質や指導法は変わったかもしれないが、ピッチで体現されたのは圧倒的な強さを誇った国見のサッカーの進化版だった。観戦に訪れていたOBの元Jリーガーが、思わず苦笑いした。 「監督は『時代に合わせて』と言っているけど、いやいや、相当走り込ませているよ」 それを物語るように、ロッカールームへ戻って来た選手たちのふくらはぎは見事なまでに盛り上がっていた。選手権史上に残る71歳の名将を迎えた長崎総科大学附属には、今大会の台風の目に躍り出そうなエネルギーが満ちあふれている。 (文責・藤江直人/スポーツライター)