「女長州力」と称された50代女優 主演映画でプロレス殺法を披露!介護職のハードな日々も明かす
フジテレビ系バラエティー番組「アウト×デラックス」で話題になったこともある個性派女優・阿部真美子の主演映画「フリークスの雨傘」(山本俊輔監督)が9月に東京と横浜のミニシアターで公開され、10月には兵庫でも上映される。阿部がよろずニュースの取材に対し、波乱万丈の人生や、劇中の設定だけでなく実生活でも続けている介護職、プロレスへの思いなどを語った。 【写真】「女長州力」として話題になった女優・阿部真美子 右腕の力こぶがスゴい! 阿部は1967年生まれ、広島県出身の57歳。身長161センチ、体重85キロという体型に加え、その口調や滑舌が〝本家〟に似ていることから「女長州力」の異名を取った。 爆笑問題の太田光がMCを務めたテレビ朝日系の深夜番組「侃侃諤諤(かんかんがくがく)」(2013年-14年放送)で「ジャンボ鶴田と長州力のどちらが強いか」というテーマに対し、プロレスファンである阿部が「鶴田の方が強い」と持論を語った際、太田とゲストのビビる大木に「口調が長州力に似ている」と指摘されたことがきっかけ。その時点では定着しなかったが、「アウト×デラックス」に〝型破りな人〟たちによる「アウト軍団」の一員として登場した時に「侃侃諤諤」での経緯を含めて〝女長州力〟と紹介されて注目された。 実はゲームクリエイターだった。地元の高等専門学校を卒業後、都内のゲーム会社に勤務。好きな電車とプロレスへの情熱を活かして「電車でGO!」「チャンピオンレスラー」といったゲームを手がけた。 だが、42歳でリストラに遭った。再就職できず、旅が好きだったことから「国内旅行業務取扱管理者」の資格を取得し、紀行エッセイ「まみこ的日本旅行」(12年、文芸社)を出版したが、いずれも仕事には結び付かなかった。俳優養成のワークショップに誘われて通ったことから芸能の仕事をしつつ、夜の接客業(スナック)、ゆうパックの配達などを経て、7年前から介護の仕事を始めて現在に至る。 山本監督が「不器用なアラフィフ女性が恋に仕事に奮闘する、人情ラブコメディ」と評する作品「フリークスの雨傘」。阿部は訪問介護サービスで働く51歳になるワーキングプアの独身女性を演じる。老人の世話をし、スナックで働く場面も登場。実人生が反映されたキャラクターでもある。 劇中の介護描写について、阿部は「夜は自宅に帰る設定なので幸せですよ」と指摘。「現実」である実際の仕事について「私は(老人介護)施設に泊まりの夜勤を1人でやることもあります。排泄介助は日中もありますが、夜勤の時は就寝介助も含めて複数人を全部1人で寝ないでやっていますので、55歳を過ぎたころから体はしんどいです」と自身の日常を明かした。 8日の公開初日、舞台挨拶に立った阿部の右腕は手首付近から肩近くまでサポーターで固められていた。阿部は「おばあちゃんが倒れかかって右腕に乗っかられた時に痛めました。4か月経っても治りません。映画は3年前の撮影だったからできましたが、今の体では無理。足も動かなくて…。『続編をやれ』と言われても無理です」と語った。 それでも、悪漢たちを何人もなぎ倒すクライマックスの乱闘シーンは圧巻だ。 山本監督は阿部のアクションについて「根っからのプロレス好きで、自分でリングを借りて女子プロレスの映画を撮るほどのオタクぶりがすごいです。こういう個性的過ぎる人を主役にした映画って、最近は中々ないだろうと思ってヒロイン役に起用しました。プロレス殺法もさく裂します」と解説。天龍源一郎にオマージュを捧げたプロレス技も登場する。阿部は「台本に『天龍の得意技で締める』と書いてあったので、『WARスペシャル』を出しました」と〝天龍愛〟をアピールした。 同作は、東京・高円寺の「シアターバッカス」で14日まで、横浜の「シネマノヴェチェント」で25日から29日まで、山本監督の短編映画「毒蝮寅子が行く!冒険篇」と同時上映。さらに、兵庫県の丹波地域4会場で13日から1か月間に渡って開催される「第2回丹波国際映画祭」にも出品され、10月初旬に上映予定だ。 介護仕事の傍ら、今後も舞台挨拶に立ち続ける阿部。「私をモチーフにした脚本を壊さないように演じられたと思います」。拳を握って手応えを示した。 (デイリースポーツ/よろず~ニュース・北村 泰介)
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