焼きいもの季節にブランドいも 安納いものライバルは?
品質のばらつきを防ぐため、2010年10月に鹿児島県は生産者や販売者とともに「安納いもブランド推進本部」を設立。品質統一基準やブランド認証規定などを策定し、島の全生産者に優良種苗を供給する体制を整えました。以来、地域ブランドとしての足場を着実に固めてきたのです。 そして「安納いも」の育成者権は昨秋で期限切れ。今春以降、他県の生産者も「安納いも」の栽培に乗り出しています。今年は「他地方産安納いも」と競合する初めてのシーズン。「種子島の気候や土壌だからこその安納いも」との声は少なくありませんが、「他品種に負けないために、意識改革と品質管理が不可欠」と語るブランド推進本部の危機感も報じられています。ちなみに、「安納いも」系の在来種をもとに栽培された「灯篭蜜芋(とろみついも)」は熊本県山鹿地区のブランドいも。ねっとりとした甘みは焼きいも店でも人気だそう。 もちろん、他の品種にも強力なライバルがいます。一部では「安納いもを超えた」と評されたのが2007年生まれの「べにはるか」。外見も食味も既存品種を「はるかにしのぐ」ことから名づけられました。「安納いも」と同じ「ねっとり系」で、焼きいもにすると糖度は50! 鹿児島県の奨励品種のため種子島でも栽培されており、同郷の好敵手といったところです。この「べにはるか」系のブランドいもは各地に現れています。 「きわめて高い糖度」と「しっとりした食感」の高糖度甘藷としてJA全農おおいたがブランド化を目指す「甘太(かんた)くん」も出自は「べにはるか」。JA全農おおいたの登録商標で、収穫後一定条件下で40日以上貯蔵し、糖度の規定を満たしたものだけが「甘太くん」として出荷されます。 焼きいも専門店で人気の「紅優甘(べにゆうか)」や「紅天使」も「べにはるか」のブランド商標。紅優甘を生産する茨城県のJAなめがたは、スーパーに焼きいもの調理販売を導入したパイオニアです。旬の時期が異なる紅優甘、べにまさり、紅こがねを時間差で出荷、年間を通じて食味のよいサツマイモの安定供給を行っています。