年金7万円、家賃4万円、崖っぷち66歳。リアルなおひとり様年金暮らしを動画で配信。コロナ解雇、病気…最悪な状況での唯一の楽しみはYouTubeだった
◆夢があるから節約も楽しい 50代までの私は、生活にゆとりなどありませんでした。20代で結婚、会社勤めをしながらの子育て。近所に住む義父母の食事を作り、義祖母の下の世話もしました。 夫は有能な人でしたが会社を辞めて事業に手を出し、結局倒産。借金取りに追われるようになったため、私は息子たちを連れて実家に逃げて、その後離婚に至ったのです。 元夫からは慰謝料も養育費ももらえず、実家の近くでアパート暮らしを始めた私は、平日はフルタイムで事務の仕事をし、休日は婦人服の販売、とダブルワークで子どもを育てました。 息子たちが独立してようやく肩の荷が下りたのは、ほんの数年前のこと。自分の老後資金を蓄える余裕などなかったのです。 ただ、まったく準備していなかったわけではありません。結婚していた頃、将来のために貯蓄型保険に加入。生活費の中から月1万円を捻出して積み立てていました。 なのに、知らないうちに夫が使い込んでなくなっていたのです。大ショックでしたがどうしようもありません。
もう一つ悔やまれるのが、離婚の際に年金分割の申請をしなかったこと。専業主婦の場合、婚姻期間中の夫の厚生年金の半分を受け取ることができます。 ただし請求期限は離婚の翌日から2年以内。私がその制度を知ったのは60歳のときで、遅すぎました。 もし申請していたら、年金額は月3万円ぐらい増えていたでしょう。残念でなりません。制度は自分で調べて申請しない限り利用できないと痛感し、今はなんでもインターネットで調べるようにしています。 元夫には散々な目にあわされましたが、おかげでちょっとした困難にはメゲなくなりました。料理や介護などあらゆる経験が役立っている。今、私がこうして前向きに生きられるのは、たくさんの人に支えてもらったからです。 離婚後の私の生活を助け、息子たちの面倒をみてくれた亡き両親。シングルマザーの私の心の支えになってくれたママ友は、今も唯一無二の親友です。それにパート先の人たちの理解のおかげで、ダブルワークと子育てを両立できた。もちろん、息子たちは頼りになる存在。みんなに感謝しています。 私にはやりたいことが山ほどあるんです。世の中は変化していくので、固定観念に囚われず、学んで柔軟に対応できる自分でありたい。そして、パートも配信もできる限り続けて、少しずつでも貯金を増やしたいですね。 孫に小遣いをあげたいし(笑)、家族旅行もしたい。そんな夢を抱きつつ、一日一日を大切に過ごしていきたいです。 (構成=村瀬素子)
鈴木よう子
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