信号待ちしていたら、目の前で親子が「横断歩道のない道路」を横切っていきました。歩行者だとしても罰金対象になるの?
交通安全の話題になると、自動車やバイク、自転車を運転する人の行動がクローズアップされることも少なくありません。車両は、速度がつくと凶器になり得るため当然ですが、歩行者側も一定の安全意識を持って行動する必要があります。 今回のケースでは、親子が横断歩道のない場所を横切っていたようですが、このような行為は、交通量が多い場所ではとくに危険だといえるでしょう。 本記事では、横断歩道のない場所での「横断」について、法律面から解説します。 ▼ハンズフリー通話での運転は「違反」になる? ペナルティが発生する場合についても解説
横断歩道の目的
横断歩道が道路に設けられている理由は、歩行者を保護するためです。横断歩道を歩く歩行者には優先権が与えられるため、車両を運転する人には、横断歩道の手前で減速したり停止したりする義務があります。 運転手は、横断歩道に近い場所で追い越しや追い抜きをしてはならず、横断歩道を渡る歩行者が安心して歩けるようにルールを遵守しなければなりません。
歩行者側の横断に関するルール
交通ルールと聞くと、車両運転手の義務を連想するかもしれませんが、歩行者にも一定の義務があります。具体的なルールを見てみましょう。 ■横断歩道がある場合はそこを渡る義務がある 歩行者の道路横断に関しては、道路交通法の第12条、第13条に規定があります。 要約すると、「歩行者には、横断歩道があるところでは横断歩道を渡る義務がある」ということです。交差点においては、道路標識などによって許可されている場合以外で、斜めに道路を横断してはなりません。 また、車の目の前や通過直後に、車の間をすり抜けるように横断することも禁止されています(横断歩道や信号機などがある場合は除く)。道路標識などによって横断が明確に禁止されている場所では、勝手に道路の反対側へ渡ってはいけません。 ■横断歩道がない場所での横断も可能なケースがある 上記の規定によると、横断歩道がない場所だとしても、絶対に道路を横断してはいけないとは限りません。もし道路に横断歩道が見当たらず、かつその場所での横断が禁止されていなければ、横断しても問題はないと考えられます。 では、ここで今回のケースを振り返りましょう。親子が運転手の目の前で横断歩道のない場所を横切っています。道路交通法第13条第1項では「車両等の直前」の横断を禁じているため、この点のみを見ると、親子の横断は正しくありません。 しかし同項によると、「信号機の表示する信号などに従って道路を横断することは問題ない」とされています。 本ケースでは、運転手が信号待ちをしているため、車道側は赤信号で、親子が横断した方角は青信号であったと推測できます(車両用信号もしくは歩行者用信号)。そのため、信号に従っていたと考えられ、そこに横断禁止の標識がない限り、親子の行動に問題はないと思われます。 ただし、運転者が、信号からだいぶ離れたところで信号待ちをしていた場合、親子も信号から遠いところで横断したことになります。この場合は、もしかしたら道路交通法第13条第1項に抵触するかもしれません。 細かな判断は、そのときの交通状況によるため、警察の判断を仰ぐ必要があるでしょう。
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