会社が傾くほどの問題作! 拍子抜けするスペックに寄せ集めパーツって「TVR魂」がまったく感じられない「タスミン」という悲惨なクルマ
TVRの次世代を担うはずのモデルで大失態
イギリスのTVRというメーカーは、これまでオーナーが何人も代わっていることでも知られています。公表されているだけでも5人の名が挙げられるのですが、交代の原因はとにもかくにも経営破綻、資金のショートに尽きるようです。作ったクルマが売れなかったら、会社を売るしかないというわけです。そんな「会社を傾けるほど売れなかったクルマ」という不名誉はTVRタスミンを置いてほかにありません。ある意味、TVR史上でも異色なモデルですので、チェックしてみましょう。 【写真】これは売れないのも納得!? TVR「タスミン」とは(全10枚) 1970年代後半、二代目のTVR経営者マーティン・リリーは、1980年代に向けた次世代モデルの必要性を感じていました。当時、それなりに売れていたグリフィスやヴィクセンといったのちにMシリーズと呼ばれるモデルを刷新するかのようなモデルを欲したわけです。 実際、1979年には大規模な工場火災に見舞われたり、主要輸出国たるアメリカでの販売に陰りが見えてくるなど、わりと厳しい逆風にさらされていたようです。 リリー社長が白羽の矢をたてたのがジャガーXJ21やロータス・エリートをデザインしたオリバー・ウインターボトムと、ジャガーXJ-Rのシャシー設計を担ったイアン・ジョーンズでした。たしかに、このコンビならイケてるモデルが仕上がること間違いなし! とリリー社長はほくそ笑んだのかもしれません。 が、出来上がった「タスミン」はいまでいうところのウェッジシェイプの直線的な2シータークーペ。ご覧のとおり「これじゃない感」たっぷりで、「大きな失望」とのコメントまで伝わっています。ちなみにタスミンとは女性の名前に使われる「タムシン」とオーストラリアのレース「タスマンシリーズ」の名前をブレンドしたものだそうです。 たしかに1980年代といえばランボルギーニ・ジャルパやBMW M1、はたまた三菱スタリオンなどなどウェッジーなデザインが突っ走っていた時期ではありますが、タスミンのデザインはどういうわけか間が抜けているというか、冗長なニュアンスが否めません。