通貨オプションで長期円高派が増加、リスクリバーサル1年超ぶり水準
(ブルームバーグ): 通貨オプション市場で長期的な円高を予想する取引が増えている。日本で金融緩和の調整が続く一方、米国が利下げ局面に入り、日米金利差が縮小していくとの見方が背景にある。長期の円買い需要の高まりは、一段と円高・ドル安が進む可能性を示唆している。
1年後にドルを買って円を売る権利(コール)の需要とドルを売って円を買う権利(プット)の需要の差を示すリスクリバーサルは、8月上旬の円急騰時に付けた水準を下回り、2023年5月以来の水準までマイナス値が拡大した。リスクリバーサルは投資家の円相場に対する見方を反映しており、マイナス値は円買い需要がドル買い需要を上回っていることを示す。
円相場は7月上旬に付けた約38年ぶり安値から約1カ月で12%余り急上昇した。円高は輸入物価を押し下げ、国内個人消費を支える効果がある。一方、円安の恩恵を受けてきた輸出企業にとっては収益面のリスクとなり、日本株にとっても足かせとなる。
米連邦準備制度理事会(FRB)は9月から利下げ局面に入るとみられており、金利スワップ市場は来年7月末までに計200ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)超の利下げを織り込んでいる。他方、日本銀行は経済・物価見通しが実現すれば金融緩和の調整を継続する姿勢を示しており、年内に追加利上げに踏み切るとの観測が根強い。
スタンダードチャータード銀行の江沢福紘フィナンシャルマーケッツ本部長は「市場ではかなり円高見通しが多くなっており、長期のリスクリバーサルの動きに反映されている部分はあるだろう」と語った。
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Daisuke Sakai