困っているLGBTの人たちに新しい一歩を…LGBT向け就労支援施設名古屋で開所
性同一性障害を受け入れてもらえなかった過去
加藤光喜さん(21)=愛知県出身=は、このグループホームで暮らしながら職業訓練に臨む一人だ。 小学5年のころ、自身が女性であることに違和感を覚え始めた。自分のことを「僕」と言うようになったり、あぐらをかくようになったりしたが、親からは「直すように」と叱られた。学校では女子たちの会話に入れず孤立し、いじめを受けた。死にたくなって自宅の2階から飛び降りたこともあった。 高校生のころ、心療内科で性同一性障害と診断された。この診断結果を両親に告げたが、受け入れてもらえず、「そんなことを言うな」と激怒された。両親はこうした障害への理解がなかったという。 高校卒業後、仕事を探す中で、虹望会の存在を知った。「相談できる人がいるからよかった。友達もできて、楽しい」。周囲の理解が得られない状況から脱けだすことができ、生きる希望を徐々に取り戻しているという。 いつかは以前に就いていた自転車修理の仕事に戻りたい。そして将来は、興味のあるカメの研究もしたいと夢見ている。「恋愛もしたい」。性別適合手術をうけて、戸籍上の性別を男性に変えたいと望んでいる。 金丸さんは、「(加藤さんは理解が得られなかった親と関わることをやめて)自分らしく生きていくことが今後のためだと思う。(親離れして)生活するための方法は指導していく」と加藤さんを支える。
LGBTは「特別視するようなことではない」
「周囲の人にLGBTを受け入れる理解があれば、グループホームに来る必要はなかったと、みんなが話している」。こう話す金丸さんも14年前に、性別適合手術を受けて戸籍上の性別を男性に変えた。 LGBTに該当する人は、国内で約8%。職場に同性愛やバイセクシャルの人がいた場合、「嫌と感じる」割合は3割。性の不一致のトランスジェンダーの人がいた場合、「嫌と感じる」のは2割だという(2016年8月、連合調べ)。 これまでにグループホームからは15人以上、LGBTの人たちは5人が社会復帰した。「(LGBTは)人権も絡む問題だが、特別視するようなことではない。困っているLGBTの人たちが、新しい一歩を踏み出すきっかけの場にしたい」(金丸さん)。 新たに始めた職の支援で、社会参加をさらに後押しするつもりだ。 ■レインボーワークス・ひょうたん山えきまえゴルフ……名古屋市守山区西新9-4 (斉藤理/MOTIVA)