治験は継続中でもワクチンが承認される訳とは? - 新型コロナワクチンの安全性評価について専門家が解説
国内の新型コロナワクチンの累計接種人数は、7月11日現在で3600万人を超えた。先月、Yahoo!ニュースVoiceにて新型コロナワクチンに関する記事を掲載したところ、コメント欄に「このワクチンはまだ治験が終わっていないのに安全だというのはおかしい」という投稿が見受けられた。 そこで、新型コロナワクチンの治験の状況と安全性の確認について、新型コロナウイルスに関する正確な情報を届けるプロジェクト「こびナビ」の事務局長でもある、黒川友哉(くろかわともや)医師にお話を伺った。(Yahoo!ニュース Voice) 新型コロナワクチン情報まとめ - 国内の接種状況
治験継続中か否かは医薬品の有効性、安全性を語る上であまり重要ではない
実は治験が終了しているかどうかは医薬品の承認の可否において重要ではありません。 もちろん、一般的には治験が終了してから薬の有効性・安全性などが評価され、承認されることが多く、その後も引き続いて「市販後調査」という安全性の調査が行われます。 今回の新型コロナワクチンの治験には、この市販後調査の内容まで含まれており、治験が終わる前に承認に必要な有効性や安全性の評価が行われています。このように、治験中の結果から薬の有用性が示され承認された薬は、これまでもたくさん存在しています。 重要なのは、薬による副作用などのリスクを上回るメリット(有効性)が、きちんと信頼できるデータによって示されているかということなのです。
ですからいま巷で治験が終わっていないだとか、いま続いているあれは第4相試験なのだとか議論がされていますが、結論から申し上げますと、海外第3相治験は、既に参加された方の経過観察のために継続中です。ただし、治験継続中か否かは医薬品の有効性、安全性を語る上であまり重要ではありません。 今回の新型コロナワクチンで重要なのは、治験において、副反応が十分にコントロール可能であるということが示され、95%という極めて高い発症予防効果が科学的に証明されたことです。(※参考文献[1]) 少なくともこのパンデミックを収束させるのに有用な薬である、と世界中で評価されています。 現在治験が続けられているのは、そこからさらに有効性がいつまで続くのかということと、理論的には考えにくいですが、長期間を経て出現するような副反応が本当にないのか、というデータを得るためなのです。これについても既に多くのことがわかっています。(※参考文献[2])