【体験談】「地方大学の強みは、地元企業との結びつき」 地域の課題に気づき、新たな興味も
「地域に愛されている大学」だと実感
――地方のキャンパスで大学生活を送ってみて、いかがですか。 私は都市部の出身ではないので、むしろ地元の栃木に近いところがあって、安心感を覚えるくらいです。大学では学園祭の実行委員会に所属していて、協賛金を集めるために地元の企業を訪問すると、快く協力してもらえるケースが多く、「地域に愛されている大学なんだな」と感じることが多いです。 ――地域の企業と大学との距離が近いのですね。 商業施設や美容院が理科大生対象のキャンペーンをやっていたり、学生証を提示することでサービスを受けられる店舗があったりします。諏訪市に本社を置くセイコーエプソンと大学が共同で実施する「GROWTH CHALLENGE(グロースチャレンジ)」という、地域企業と一緒に地域課題を解決していくプログラムもあります。私は2年連続で参加していて、とても大きな経験になっています。 ――どんな課題に取り組んだのですか。 2024年度に私が取り組んだテーマは「“あったらいいな”をエプソン×センシング技術で実現しよう!」でした。私は、風害によってリンゴが落ちてしまい、出荷ができなくて困っているというニュースを目にしたことから、エプソン製のセンサーで風を感知し、風害を防ぐ壁ができるシステムを提案しました。社員の方や他大学、他学年の学生とミーティングを行い、最終的にはビニールハウスの遠隔操作をするという解決策にたどり着きました。本学で最終発表をし、意義深いフィードバックをもらうことができました。
新しい分野への興味も
――3年生からは研究室に所属しますね。 画像や音響を研究したくて進学した大学ですが、教育系の分野にも興味がわいてきて迷っています。というのも、「グロースチャレンジ」をきっかけに仲良くなった大学院生が、プログラミングをどのように小学生に教えるかという研究をしていて、話を聞くうちに面白そうだなと興味を持ちました。ちょうど大学の授業でプログラミングを学んでいて、この知識を何かに生かせないかと考えていたこともあります。 ――「グロースチャレンジ」に参加したことが新たな興味にもつながったのですね。 大学に入って新しいことに挑戦してみたいと思うなかで、「グロースチャレンジ」のような機会に出会って、地域課題を意識するようになったり、そこで大学院の先輩と仲良くなったりと、世界が広がっているのを感じます。それに加えて、大学にはいろいろな地域から学生が集まっているので、今までにない価値観を持っている人、出身地によって違う文化、自分とは異なる環境の人たちなどと関わる機会が増えて、高校時代よりコミュニケーション能力がついたように思います。 ――これからの目標などがあれば教えてください。 地域との結びつきが強いこの公立諏訪東京理科大学で視野が広がり、いくつかの選択肢も見えてきました。まだキャリアデザインはぼんやりしたままですが、引き続きいろいろなことに挑戦して、自分の道を見極めるための材料を集めていきたいと思っています。
朝日新聞Thinkキャンパス