【体験談】「地方大学の強みは、地元企業との結びつき」 地域の課題に気づき、新たな興味も
都市部にあるキャンパスと、郊外や地方にあるキャンパスには、それぞれの魅力があります。地方のキャンパスは地域で一人暮らしをする学生が多いという環境から、地元の人とのつながりが深まることで、学生生活が充実していきます。特に、地域に根ざした企業の人と出会って学ぶ機会があると、将来どんな仕事をしたいのか、進む道を見つけることにも役立つでしょう。「自然を満喫しながら、地域の企業とともに地域課題を解決する活動が、大きな経験になっています」という学生に、地方キャンパスの良さを聞きました。(写真=公立諏訪東京理科大学提供) 【写真】本田さん(左)。入学後のオープンキャンパスでは学生スタッフとして活躍した
製造業の企業がたくさんある地域
人口約5万5000人の小さな都市、長野県茅野市にキャンパスを構える公立諏訪東京理科大学。茅野市を含む諏訪地域は日本の近代産業の礎をつくった製糸業にはじまり、時計などの精密機械、そして電気・電子部品や自動車部品など、生活に密着し、社会を豊かにする工業製品を世に送り出してきました。今も、セイコーエプソンなど日本有数の精密機械メーカーをはじめとするものづくり産業の集積地となっています。同大は工学部だけの単科大学ですが、工学の学びを生かした地域課題の解決や地元企業との共同研究など、地域と連携した教育・研究を行っています。 同大学の広報担当者はこう話します。 「地域の先端技術の振興などに貢献しながら、日本の『ものづくり』を牽引する人材育成に努めるため、工学と経営学の融合教育に力を入れてきました。一方、ここ諏訪地域には製造業をはじめとする多様な業種の企業があり、学生が地域の企業から学べることはたくさんあります。そこで大学では、地域の企業と学生が接する機会をつくることを大事にしています。学生の9割が自宅を離れてこの地域で暮らしていることから、地域の企業や住民と関わる機会も多くあります」
地元から離れた大学に進学
工学部情報応用工学科2年の本田小百合さんは、高校時代に興味のある画像や音響の分野を学べる大学を探すうちに、栃木市の自宅から約200キロ離れた同大学に目が留まりました。信州の自然を満喫しながら、充実した大学生活を送っているという本田さんに、話を聞きました。 ――公立諏訪東京理科大学を志望した理由を教えてください。 中学生の時から動画制作に興味があり、自分でも撮影や編集をしていました。大学でも画像や音響の研究をできたらいいなと思い、国公立大学に絞って探していたところ、高校1年の時に公立諏訪東京理科大学の存在を知ったんです。中学、高校とラグビー部に入っており、遠征で何度か長野県を訪れていたので、長野県という立地にも不安は感じませんでした。 ――公立諏訪東京理科大学のオープンキャンパスには参加しましたか。 高校1年の時はちょうどコロナ禍で、ウェブによるオープンキャンパスに参加しました。現地でのオープンキャンパスに参加できたのは、高校3年の時です。ちょうどラグビー部の遠征が長野県であり、最終日の練習を抜けさせてもらって参加しました。実際に行くと雰囲気がよくわかったとともに、研究室公開で研究内容を体験できたことで、いちだんと興味が強まりました。 ――ほかの大学は考えましたか。 インターネットでいくつかの大学を調べましたが、公立諏訪東京理科大学が最も自分のやりたいことを学べる大学だと思い、高校2年の時点で第1志望校にしていました。受験の機会を増やしたいと思って入試方法を調べた時に、学校推薦型選抜があることを知り、推薦での受験を決めました。実家を離れることになりましたが、両親からは日頃から「やりたいことをやりなさい」と言われていて、反対などはありませんでした。