「人との触れ合いが楽しかったと思い出してほしい」保護犬・保護猫をきれいな姿に…ボランティアトリミングを続ける思い
トリミングをするにあたり、牛島さんが大切にしていることがあるといいます。 「わんちゃんそれぞれの性格に合わせています。風が苦手だったり、シャワーの音が怖かったり…。難しいかなと思ったら、ブラシや蒸しタオルだけにしています。心のケアも兼ねているので、とにかく無理をさせないことですね」
牛島さんに加えてボランティアのスタッフ2人とともに、まずは体を濡らしてシャンプー・トリートメント、ドライヤー・ブラシ、カットの順できれいにしていきます。クララちゃんは風が苦手なので、ドライヤーの風量や向きを工夫しながら乾かしていきます。1時間ほどのトリミングで、クララちゃんはとてもかわいらしい姿になりました。 「体をきれいにしてあげることで病気の予防にもなりますし、かわいい姿にして譲渡に繋げてあげたいです。何よりも『人との触れ合いがこんなにも温かくて楽しかったんだ』と、わんちゃんたちに思い出してほしいです」
センターによると、うれしいことにクララちゃんに引き取り手が見つかったとのこと。 牛島さんはじめボランティアトリミングのスタッフの皆さんは「これから会えない寂しさはあるけれど、こんなにもうれしいことはないですよね。クララ、良かったね!」と話していました。
■行政とボランティアの協力で…
「ボランティアトリミング活動の存在がとても大きいんです」 そう話すのは、千葉県動物愛護センター次長の飯田直樹さんと愛護管理課の大日方洋一さんです。 現在収容されている多くは飼い主が不明の犬や事故などで負傷した猫だといいます。 「飼い主が迎えに来なければ、感染性が強い、重度の疾患を持っている、交通事故の経験がある、人に対する攻撃性を持っている…など様々な理由で譲渡に移すことが難しいケースもあって、殺処分をゼロにしたくてもできない現状があります」 少しでも譲渡へ繋げようと、千葉県動物愛護センターでは2012年頃からセンターが主導してボランティア団体に働きかけ、ともにトリミングの実施や譲渡会の開催、避妊・去勢手術などに積極的に取り組んでいます。それまでは日々の業務の間にセンターの職員がトリミングをしていたそうです。 牛島さんは「行政がボランティアを受け入れ始めたことが、ボランティアトリミングが広がる一つのきっかけになったと思います」と話します。 「だからこそ行政ができることは行政、ボランティアができることはボランティアといったように協力体制で取り組めると良いですよね。トリマーである私たちのプロの技術で助けられることがあるのであれば、惜しみなく協力したいです」 センターでは、収容されている犬や猫たちが、譲渡が決まるまで健康で安心して過ごせるよう、一頭一頭の体調や性格をリスト化して細かく管理しています。また施設内にあるドッグランや猫の遊び場は職員の手作りだそうです。